芸能

堤真一、“冴えない魅力”の歴史 もう彼の右に出るものはいない

若い頃は故・千葉真一主宰のJAC、舞台演劇でキャリアを積んだ(時事通信フォト)

故・千葉真一主宰のJACに所属し、その後は舞台演劇でキャリアを積んだ(時事通信フォト)

「神演技」「まるで大人の仕草」……毎週の放送が終わると必ず絶賛の声が巻き起こる、TBS金曜ドラマ『妻、小学生になる。』(毎週金曜、夜10時〜)子役の名演。しかし、ドラマオタクのエッセイスト小林久乃氏は、本作の魅力はそれだけではないと主張する。妻を失い失意の中年を演じる堤真一(57)こそ、ドラマの人気を支えているという。小林氏が考察する。

 * * *
 死んだはずの妻が生まれ変わり、小学生の体で戻ってきたという物語で話題の『妻、小学生になる』。放送ごとにSNSで感心されているのは、子役の毎田暖乃ちゃんによる名演技。石田ゆり子さん演じる、亡くなった妻・新島貴恵に仕草が酷似しているという。なるほど。確かに、このドラマを語るうえで子役の名演は欠かせない要素のひとつだ。

 ただここで私は声を大きくして言いたい。あのドラマの人気を牽引しているのは、主役・新島圭介役の堤真一さんなのである。何が最高って、冴えないサラリーマン役であること。最愛の妻を亡くし、やる気もなく、悲しみにうちひしがれていた約10年間。覇気もなく、「家庭で居場所がないのだろうなあ」と思わせるお父さんそのものを見事に表現していた。そう、堤さんは“冴えない”役の(勝手に)名士なのだ。

20年以上前の名作ドラマでも…

 堤さんクラスになると出演作品数が膨大すぎるので、あくまでも私が視聴した中で印象に残った作品を紹介したい。

 まずは彼の魅力が世間に解き放たれることになった『やまとなでしこ』(フジテレビ系、2000年)の中原欧介役だ。才能を持った数学者でありながら、縁に恵まれず、実家の魚屋を手伝う日々。そんな彼が恋に落ちたのがCAの神野桜子(松嶋菜々子)だった。高スペック男子を狙い続ける桜子に振り向いてもらうため、医者だと身分を偽る。当時、堤さんは35歳。自分のことをうまく表現できない、モテない、気づかない、でも優しい。そんな男を演じていた。

 この作品、桜子の(現代語で表現すると)トゥーマッチな港区女子ぶりが人気で、コロナ禍による自粛中(2020年7月)にも再放送されていた。語りつがれていく名作なのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン