2021年9月の新宿区立大久保公園周辺。客を待っていた女性と付き添う私服捜査員。コロナ禍で困窮し個人営業に乗り出す女性が増えていると言われている(イメージ、時事通信フォト)

2021年9月の新宿区立大久保公園周辺。客を待っていた女性と付き添う私服捜査員。コロナ禍で困窮し個人営業に乗り出す女性が増えていると言われている(イメージ、時事通信フォト)

 追い込まれた女性の中には、あまりの苦しさから自死する者もいたというが、結局あの時と同じようなことが起きているのだと、野中さんは力説する。

「パパ活の悪いイメージが巧妙に伏せられることは、騙される女性が生み出されるということ。パパ活は体を売るものではないから大丈夫、という軽いイメージだけで語られることが多過ぎます」(野中さん)

 野中さんの主張は、筆者の取材でも裏付けられた。冒頭、池袋で起きた事件の容疑者の女性に浮上している疑惑のように、今では「パパ活」を装った管理売春が横行している。業者が、女性が単独で活動しているように装って、出会い系サイトやマッチングアプリを使って客を誘き寄せるのだ。司法関係者によると、こうした実情がさらなる惨劇を生んでいるという。

「パパ活を偽装した大規模な管理売春グループが逮捕されるなどしていますが、パパ活を装った美人局や脅迫が相次ぎ、多岐にわたる犯罪の温床となっている。女性が辛い思いをするだけでなく、誘拐事件が起きたり刺傷事件が起きた例もあります。池袋事件では、容疑者の女性が続けて逮捕された男性の元交際相手ともいわれていますが、本当にそうなのか。管理売春業者が管理しようと狙った女性と恋愛関係を作り、口説いて仕事をさせる典型のようなパターンにも思えます」(司法関係者)

 騙される女性も悪い、地道に働くよりも身を売ってすぐにお金を得ようという浅はかな考えが元凶という指摘もあろう。確かに女性がまったくの無罪だとは言わないが、池袋事件の場合は、いわゆる「型(カタ)にはめられた」可能性が極めて高いと考える。女性を仕事の道具として従わせる定型を持っている、悪意ある人たちのターゲットにされた側面もあるのではないか。

 もちろん、何があったにせよ相手を殺していい理由はないが、結局事件のきっかけは「パパ活」という言葉のイメージの軽さに、心が弱って判断力が低下している状態で惑わされた人たちによって生み出されたというのが実情だろう。

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