スポーツ

北京五輪閉幕で提言「国同士で競い合うという発想を捨てるべき時期にきた」

これからも変わらずに羽生結弦を応援し続けたいという(写真=Penta Press/時事)

これからも変わらずに羽生結弦を応援し続けたいという(写真=Penta Press/時事)

 17日間に及び開催された北京オリンピック。日本が過去最多18個のメダルを獲得したことが話題となったが、それ以上に注目を集めたのはドーピング違反など数々の騒動だった。作家の甘糟りり子さんはどう見たのだろうか。

 * * *
 つい1週間ほど前まで行われていたオリンピックがもっと遠い過去のように感じられる。東京都教育委員会のHPによれば、オリンピックとは、「スポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的とした」ものだという。しかし、近年、これほど後味の悪いオリンピックも無かった。いくつものすっきりしない疑問をうやむやにしたままの閉幕だった。

 連日、女子フィギュアスケートのワリエワ選手のドーピング問題が報道されていたが、そもそもロシア選手団は組織的ドーピングによって国としての参加が認められず、 ROC(ロシア・オリンピック委員会)という名称での参加だった。違反歴や疑惑がない選手のみが「個人」として出場を許可されるのではなかったのか。国旗の掲揚を行わない、国歌斉唱はなし、国名の入ったユニフォームを着用しないという条件が付いているものの、ROCはほとんど国の選手団である。ご都合主義の対処といわざるを得ない。

 スター選手の多いロシアを出さないと視聴率が下がるからなのか、みんなプーチンが怖いからなのか(そりゃあもちろん怖いけれど)。それとも両方?

 中国の新疆ウイグル地区でのウイグル族への弾圧やひいてはジェノサイドに抗議の意思を示すため、外交的ボイコットを行った国もあった。アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、ニュージーランドなどだ。日本も政治代表団を派遣しなかった。本気に抗議するのなら「政治的」ではなく、全面的にボイコットをするべきだ。オリンピックを「平和の祭典」というのならば。

 北京オリンピックの開会式も閉会式も、表現としてはすばらしかったと私は思う。国内のローカルタレントが次々と出てきて何かやるという忘年会みたいな開会式とは全然違った。始まりから終わりまでが一つのイメージで統一されていた。

 そんな式典でバッハ氏は例によって無駄に長い挨拶を行った。閉会式では「五輪で団結する力は、分断する力より強い。平和の機会をもたらした」とのたまった。ウイグル民族の人たちや香港の人たちは、これを聞いてどう感じるのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン