女優のお仕事をしていると、どうしても家を空ける時間ができてしまうので、私に仕事が入ったときは夫が家事も子どものことも全部やってくれます。
夫は「こんなに優しい人がいるんだ」と思うくらい優しい人。安心して任せられるんです。夫も私も仕事が入ったときは、母や義母にサポートをお願いし、仕事の現場ではマネージャーさんやスタッフさんに支えられています。本当に恵まれてるな、と思います。年齢を重ねてみると、そういう周りのサポートがあってこそ、仕事もささやかな日常の営みもできるのだと身に染みて感じています。
振り返ると、夫と知り合った当時、私は人と関わるのが怖くなっている時期でした。
人生にはそういう“波”があると思いますが、ちょうどそういう時期だったんです。自信を喪失し殻に閉じこもっている私を見た夫が「あなたはもう幸せになっていい人なんだよ」と言ってくれました。夫はその時と今もまったく変わらず、私と子どもたちを見守ってくれています。
「こんな人を選ぶといい」なんていうことは私には言えませんが、人として尊敬できる人、一緒に楽しめる人がいいと思います。同じ役者の人がいい、とも考えたことはありませんが、やっている仕事について話し合えて、お互い理解し合えて、助けられていると思います。
仕事だけじゃなく、夫とは何でもない話でもずっと話していられるんです。私は今が一番楽しいと思っています。人生には“波”がありますが、私の根本は何も変わっていなくて、愛する人の温もりや人への思いやり、感謝を軸に生きていけたらいい。
信頼できる夫がいて、守るべき子どもができて強くなり、やっと穏やかな自分らしい人生を過ごせている気がします。
◆取材・文/中野裕子(ジャーナリスト)