国際情報

【アメリカ発】トランプは見抜いていた「バイデンはウクライナを見捨てる」

様々な選択を迫られているバイデン大統領(写真/CNP=時事)

バイデン大統領は様々な選択を迫られている(写真/CNP=時事)

 ロシアのプーチン大統領が「今回の作戦はウクライナ政権に虐殺されてきた人々を保護する目的だ」と見え見えの嘘で軍事侵攻したのは、どうせアメリカのバイデン政権は動けないと見透かしていたからだ。その背後には「あの男」がいた──。アメリカ現地から高濱賛氏(在米ジャーナリスト)がレポートする。

 * * *
 今回の軍事侵攻を「崖っぷち戦略」などと報じる欧米や日本のメディアはプーチン大統領の真意を読み違えている。実は「かねてから用意周到に練られたNATO(北大西洋条約機構)拡大阻止の一環」(キャサリン・ストーナー・スタンフォード大学教授)だからだ。

 プーチン氏の強気の理由は2つある。まず、反米感情が高まる国内で、同氏の「大ロシア」(ソビエト連邦)への回帰志向に大衆が異議を申し立てるわけがない。最近の世論調査では、年金問題や物価高でプーチン氏の支持率は下がっていたから、外敵を叩いて愛国心を鼓舞する判断は理にかなっている。

 そして、同氏が進軍ラッパを吹くもうひとつの理由は敵国アメリカにいる「盟友」の存在だ。バイデン大統領の政策すべてにイチャモンをつけてきたトランプ前大統領である。二人はトランプ氏の大統領就任前からビジネスを通じて深い関係にあり、超大国のトップ同士になってからは、長男トランプ・ジュニア氏とプーチン側近らが頻繁に接触していた。

 トランプ氏は2月14日、「私が大統領だったなら、こんなことは絶対になかった」とツイートしたのに続き、22日には保守系ポッドキャスト「クレイ・トラビス&バック・セックストン」のインタビューでこう吠えた。

「テレビを見て、『こりゃ天才だ!』と叫んだよ。プーチンはウクライナの大部分に軍隊を侵攻させ、東部地域を独立国家だと宣言した。すごいことだ。私は『プーチンは頭がいい』と言った。この軍隊は(ウクライナ政府と独立派住民の)調停者だ。強力な和平監視役になる。こんなに多くの戦車は見たことがない。

 アメリカもこんな軍隊を(不法移民が殺到するメキシコとの)国境に派遣できればよかった。我々もいずれ(ウクライナ問題に)加わって平和を維持する。プーチンという男はまったく抜け目がない。私は彼を知り尽くしている」

 そして返す刀で政敵に斬りかかる。

「言っておくが、こんなことは私が大統領だったら起きなかった。(バイデン政権は)どう対応したか? 何もできずにいる。悲しいことだよ」

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン