国際情報

ゼレンスキー大統領「Tシャツ国会演説」に世界が注目し始めた

グリーンTはトレードマークに(Ukrinform/時事通信フォト)

グリーンTはトレードマークに(Ukrinform/時事通信フォト)

 ウクライナ戦争の勝負を決めるのは兵器と情報戦だ。後者については、目下のところ「領土と国民の命を守る正義の味方」を演じるゼレンスキー・ウクライナ大統領に国際世論の軍配が上がっているように見える。一方で破壊と殺戮を続けるプーチン露大統領は、バイデン米大統領に言わせれば「極悪非道な戦争犯罪人」。少なくとも西側はそうしたレッテルを貼っている。

 不謹慎ながら、この戦争をドラマに見立てれば、主役は何といってもオリーブ・グリーンのTシャツ姿のウォロディミル・ゼレンスキー大統領だ。もともとテレビ番組のプロデューサーやコメディ俳優として活躍していただけあって、人を惹きつけるパフォーマンスに長けている。44歳と若い。かといって軽薄な元芸人というだけではなく、名門キエフ国立経済大学を卒業したインテリでもある。

 グリーンのTシャツにこだわるのは、「兵士や市民とともに戦う連帯感」を象徴しているからだとされる。また、当初は大統領執務室から流していたオンライン演説も、ロシア軍の砲撃を避けるために「某所」からになっている。平時のように万全の生活はできていない可能性もある。

 ゼレンスキー大統領は、アメリカをはじめとする西側の「お金持ち国家」の支持と支援を得るため、各国の議会でオンライン演説を続けている。3月8日のイギリス議会を皮切りに、15日はカナダ議会、17日にはアメリカ議会、そして23日にはいよいよ日本の国会に登場する。北大西洋条約機構(NATO)加盟国には兵器供給や飛行禁止区域の設定を求めたが、憲法の制約がある日本に対しては経済支援や難民支援を訴えるとみられる。

 このオンライン演説は、カナダでスタンディング・オベーションをもって迎えられるなど絶賛、歓迎されているが、実はアメリカでは一部保守派からイチャモンもついた。「いやしくも一国の議会向けに演説するのにTシャツ姿とはなんだ」というのである。言い出しっぺは共和党員で経済評論家、株式ブローカーのピーター・シフ氏。2008年の経済危機をいち早く予言して一躍有名になり、現在自前のテレビショー番組を持っている。

アメリカ議会での演説も歓迎されたが(CNP/時事通信フォト)

アメリカ議会での演説も歓迎されたが(CNP/時事通信フォト)

 シフ氏はツイッターにこう書いた。

「私は今の米議会の面々をそれほど尊敬してはいないが、もし議会演説するならTシャツでは行かない。私は議会や国家の権威を軽んじはしないからだ」

 これにはリベラル派が猛反発。コメディアンであるデイビッド・バディエル氏は、「今年見た最低最悪のコメントだ。ゼレンスキーは戦時下の大統領だ。いちいち着ているものにケチをつけるとは……」とツイッターでかみついた。ハリウッドからは映画作家のアンディ・オストロイ氏が、「国家の一大事に必死になって友に訴える大統領の服装をうんぬんするとは、了見の狭さに唖然とするね」と矢を放った。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン