「できれば全員で」と思わせる理由
ジャニーズ事務所のアイドルに限らず、グループが知名度を上げ、人気を獲得していく上で鍵を握っているのは、メンバーの個人活動。「個人活動で得た人気や経験をメンバーに還元しながら、グループでの大ブレイクを目指す」という形がスタンダードであり、Snow Manにもその傾向が見られます。
しかし、テレビマンたちと話をしていると、「Snow Manは1人より2人、2人より3人、3人より全員のほうが相乗効果で魅力を感じられるタイプのグループ」という声が返ってきます。個人としてもいいんだけど、できればグループで出てもらいたい。だから「全員そろえるのは難しい」ことはわかっていても、「できれば全員で」「できなければ3~4人で」という形でのオファーをしたくなるようなのです。
テレビマンたちがSnow Manに「グループで出てほしい」と思う1つ目の理由は、彼らが全力かつ全速のリアクションが取れること。また、浮いたりスベったりを恐れない思い切りのよさや心の強さがあること。
彼らはトーク、表情、動作などのリアクションが大きく、速く、ポジティブ。常に全力なので空回りしてしまうこともありますが、それも若さあってのものであり、人間味があっていい。何より「番組にテンポと明るさをもたらせるのがいい」と言うのです。
なかでもバラエティは出演者たちのチームワークで成立しているため、出演者は必ずしも質の高さを求められているわけではありません。気の利いたコメントや笑いは、それが得意な芸人など他の出演者が担えばいいのであって、その点でテンポや明るさをもたらすSnow Manは計算の立つ存在のようなのです。ただ、今回の「“全員ドッキリ”という企画が土曜ゴールデンタイムで成立する」という事実は、もはや彼らだけで笑いをも担えるように成長したことの表れかもしれません。
テレビマンがSnow Manに「グループで出てほしい」と思う2つ目の理由は、バラエティで活躍できる20代の男性芸能人が極端に少ないこと。2020年春以降、民放各局は10~40代がメインターゲットの番組に力を入れるようになり、出演者の若返りを図っています。
しかし、各ジャンルの男性芸能人を見ると、芸人はアラフォーやアラフィフが中心であり、新たなブレイクも30代がほとんど。俳優には20代の主演クラスもいますが、もともと脚本通りに演じることが仕事の彼らはバラエティとの相性が微妙で、適応できる人も30~40代が多い。また、男性芸能人には、女性芸能人に多いバラドルやモデルタレントがほとんどいません。
「20代の男性芸能人がバラエティに足りない」という状態が続く中、ジャニーズ事務所のアイドルに白羽の矢が立てられるのは当然でしょう。しかもSnow Manのように、多くの固定ファン層を持っている上に、常に全力で気取ったところがなく、嫌われにくいグループなら言うことなしなのです。