若かりし頃の姿
同居はしない
映画『とんび』にはこんなシーンがある。数年ぶりに対面したヤスとアキラが、対話を重ねることで徐々にわだかまりを溶かしていく。2人で海を眺めながら、アキラがヤスにこう語りかける。
「おやじさ、東京で一緒に暮らそうよ」
映画のシーンさながら、阿部も密かに「一緒に暮らす」計画を立てていたという。
「阿部さんは2011年頃に都内の一等地に土地を購入しました。広さは50坪以上で、いずれはそこに二世帯住宅を建てて、お父さんと一緒に暮らすことも考えていたようです。
末っ子である阿部さんがここまでするのは、モデル活動や芸能界入りなど、自由にさせてもらったことへの恩義があるからです。そもそも、お母さんが闘病しているときは、きょうだいと比べていちばん経済的に余裕のある阿部さんが、多めに治療費を出していたと聞いています。お父さんに対しても、“何かあったときには自分が面倒を見る”という気持ちだったのでしょう」(阿部の知人)
だが、その土地はいまでも更地のままだ。
「お父さんはいま、地元の横浜で阿部さんのお兄さんと一緒に生活をしています。阿部さんと同居はしないと聞いていますよ。長年暮らしてきた地元が大好きなんですって。いまは仲間たちとのボウリングが何よりの楽しみなんだとか。阿部さんもそんなお父さんの気持ちを尊重して、無理に呼び寄せたりすることは考えていないようです」(前出・阿部家の知人)
阿部の父に話を聞くと丁寧にこう明かしてくれた。
「(阿部とは)半年くらい前に会ったかな。そのときに『とんび』の話も出たから、今度、長男と見に行こうと思っています。(阿部は)俳優としてよくやっていると思うよ。これからも、一生懸命、ひたむきにやっていってほしい」
『とんび』では、同居を切り出されたヤスが、アキラにこう答える。
「あほ、わしが行ったら、お前らの逃げる場所がないじゃろう」
それもまた、子を思う父の愛情なのだ。
※女性セブン2022年4月28日号
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