ライフ

いつか陰謀論にハマりかけた自分に警鐘を鳴らすための予備知識

(共同通信社)

ロシアの侵攻をめぐっても流言飛語が飛び交う(共同通信社)

 高度に情報化した社会は、人間のあやうさも浮き彫りにしている。コラムニストの石原壮一郎氏が陰謀論について考察した。

 * * *
「ウクライナはネオナチに支配されている」「新型コロナワクチンは人口削減が目的」「トランプ前大統領はディープステート(闇の政府)と戦っている」などなど、ネット上には今日もさまざまな「陰謀論」が渦巻いています。

 このところ増えているのが、悲惨な戦いが続くロシアとウクライナに関する話題。最初にあげた「ネオナチ云々」のほかにも「プーチン大統領はウクライナを救う光の戦士」「被害の映像はウクライナ側の捏造」などなど、意表を突いた主張が次々と出現しています。

「そんなバカバカしい話を信じる人なんているのかな」と思った人も多いでしょう。賢明で健全な感覚です。しかし残念ながら、本気で信じてしまう人は少なくありません。そのせいで人間関係に亀裂が入ったり、家族が崩壊したりといったケースも多々あるとか。

「陰謀論」は虎視眈々と心のスキに入り込むチャンスをうかがっています。「自分は大丈夫」という保証はありません。うっかりハマって「あーあ、この人、そっち側に行っちゃったか」とガッカリされる事態を避けるためには、ハマる側の気持ちを知っておくことが大切。きっと、ハマることによる魅力やメリットがたくさんあるのでしょう。

 その恐ろしさを再認識するために、ハマりかけたときに「あっ、この気持ちよさはもしかして……」と自分で自分に警鐘を鳴らすことができるように、〈「陰謀論」にハマることで味わえそうな7つの幸せ〉を考えてみました。

その1【自分は選ばれし特別な存在だと感じてウットリすることができる】

「多くの人が知らないことを自分は知っている」と思うことで、世の中の多数派を「このバカどもが」と見下すことができます。総合的かつ客観的には「ものを知らない側」だったとしても、そこは関係ありません。一度感じたら、どんどん深みにはまるでしょう。

その2【政治や社会や自分が置かれている状況への不満を埋め合わせられる】

 ある調査によると「不満が多い人ほど『陰謀論』を信じやすい」という結果が出ているとか。周囲の実例を見ても大いにうなづけます。心の奥底にある不安や心配だって、自分に好都合な理論を探してきて積極的に信じることで、たちまち吹き飛ばすことができます。

その3【SNSで同じ側の人たちから大量の「いいね」や賛同がもらえる】

 同好の士が喜びそうな投稿をすれば、たちまち大きな反応があり「承認欲求」とやらがたっぷり満たされます。その快感が癖になって、さらに過激な意見やエピソードを探したくなるのが常。日頃は縁が薄い「連帯感」や「強い絆」も、存分に実感できるでしょう。

その4【よくわからない問題に対しても常に明快な回答を与えてもらえる】

 世の中も人生も「よくわからないこと」だらけです。たとえば新型ウイルスのことにしても、ちゃんとした研究者ほど曖昧な言い方しかできません。それが誠実さです。しかし真偽はさておき、常に明快な回答を与えてもらえるのはさぞや気持ちがいいでしょう。

関連記事

トピックス

真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
今年の”渋ハロ”はどうなるか──
《禁止だよ!迷惑ハロウィーン》有名ラッパー登場、過激コスプレ…昨年は渋谷で「乱痴気トラブル」も “渋ハロ”で起きていた「規制」と「ゆるみ」
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン