芸能

「上島竜兵さんの死を笑いに変えたい」に見える芸人たちのもがきと苦しみ

有吉弘行

竜兵会で上島さんと交流のあった有吉弘行

 いつだって人気タレントの訃報には、多くの追悼コメントが寄せられる。ただ、ここまで惜しまれて、故人を失った辛さが溢れ出ることは、そう多くはない。5月11日に急死したお笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さん(享年61)については、お笑い界の大御所3人を始め数多くの人々が、さまざまな思いを吐露した。

 ビートたけし(75才)は、11日当日の公式サイトに「大変ショックです。40年近く前から一緒に仕事をしてきたのに、芸人は笑っていくのが理想であって、のたれ死ぬのが最高だと教えてきたのに、どんなことがあっても笑って死んで行かなきゃいけないのに、非常に悔しくて悲しい」と、苦しい胸の内を率直に表明した。

 たけしを古くから知る芸能関係者は「2年前の志村けんさん(享年70)の時は『戦友』と惜しみながらも、一方で幸せだったと送り出す思いもありました。今回ほど悲しさばかりの感情を明かされたのは、1999年にお母さんが亡くなった時以来かもしれません」と話す。

 上島のリアクション芸が開花したのは『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(1989~1996年)。“育ての親”の1人として、寿命を全うしなかった“弟子”の最期に打ちひしがれた。

 明石家さんま(66才)は「堪えた。好きな芸人が一番嫌いな死に方をしたから、ちょっと腹が立ってる」とやりきれなさを口にして、笑福亭鶴瓶(70才)も「本当にその通り。お笑い人がみんな傷ついている」と同意した。

 ダウンタウン松本人志(58才)も『ワイドナショー』で、「40年近く要所要所で番組で盛り上げてくれて…、ちょっとゴメンナサイ…」と、声を詰まらせ瞳を潤ませた。

 前出の芸能関係者は「『テレビでは泣かない』と公言する松本さんのあの姿は珍しかった。司会の東野幸治さんがフォローしなければ危なかった」と語る。

 上島さんを囲む飲み会「竜兵会」の後輩だった3人、有吉弘行(47才)、土田晃之(49才)、劇団ひとり(45才)は、それぞれの冠ラジオ番組で語った。

 有吉は、11日夕方に2人きりで対面したこと、通夜・葬儀、火葬場まで同席させてもらったこと明かして「ちょっとツッコんでやろうかなとか、茶化したりとか、バカだなとか言おうと思ったけど、やっぱりお礼しか出なかったね」と、涙声で感謝。「結構元気出たつもりだったんだけど、そういうの繰り返すね。元気出たり、また落ち込んだり…」と、まだ受け止め切れていないことを認めた。

 泣きながら病院に駆けつけたという土田は「僕のボスが死んだ話です。いつもお笑いで簡単な二択を間違えていた上島さんが、最後も簡単な二択を間違えちゃったんだろうな。そっち行っちゃうと全然みんな楽しくないよ、そっちじゃねぇんだよなって。あの世で志村さんにこっびどく怒られて、『すいません』って言ってるのが目に浮かぶ」と、精いっぱいのダメ出しで愛情を表現した。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン