馬原医師は長年の治療経験から「日本紅斑熱と診断した場合には、抗菌薬のテトラサイクリンを第一選択とし、1日の最高体温が39℃以上の場合には、直ちにテトラサイクリン薬とニューキノロン薬による併用療法を行なう」と提唱しています。
私の馬原文彦先生への印象ですが、真剣に患者さんと向き合って丁寧な診療をする純粋な臨床医という思いを抱きました。一方で、馬原先生は科学的な目でデータを読む生粋のサイエンティストでもあります。そんな先生だからこそ、日本医師会編「臨床検査の手引き」にも「日本では存在しない疾患」と明記されていたのを覆して、この病気が日本にあることを発見できたのだと思います。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
イラスト/斉藤ヨーコ
※週刊ポスト2022年6月10・17日号