歌舞伎界の名門中の名門である成田屋に生まれ、常にスポットライトを浴びる人生を歩んでいる市川海老蔵(44才)。それ故、トラブルに巻き込まれたことも一度や二度ではない。そんな海老蔵が変わろうとしている。その陰にあったのは、自身の「團十郎襲名」より大事な、愛息と歌舞伎の将来──。
歌舞伎の演目中に披露される「にらみ」は、代々の市川團十郎と、市川宗家(成田屋)につらなる役者のみが舞台上で行うことを許される特別なものだ。
「團十郎ににらまれると、一年間無病息災で過ごせる」
そう伝わっており、歌舞伎界だけでなく日本社会における、團十郎という存在の大きさを物語っている。5月22日、市川海老蔵がその「にらみ」を披露した。関東を一望する東京スカイツリーの頂上部──地上634mでの「天空のにらみ」だった。
「開業10周年を迎えた東京スカイツリーの記念式典でした。高さ450mにある展望回廊まではエレベーターで行けますが、『にらみ』を披露した頂上部までは、階段や梯子を登るしかありません。しかも、ひたすら登って1時間近くかかる長い道のりだそうです。かつての海老蔵さんであれば、そんな“手間のかかる仕事”にはあまり前向きではなかったでしょう。年末の襲名披露を控え、気持ちを新たにしたのではないでしょうか」(歌舞伎関係者)
その9日後の5月31日、「十三代目市川團十郎白猿」の襲名披露公演が、今年11~12月の2か月にわたって行われることが発表された。海老蔵の父、十二代目團十郎さん(享年66)が2013年2月に亡くなってから約10年ぶりに、歌舞伎界の大名跡が復活を遂げる。
当初の予定では、襲名披露公演は2020年5月から3か月かけて行われる予定だった。しかし、コロナ禍で歌舞伎公演は軒並み中止になり、襲名披露も無期限延期となった。
「実は今春の段階で、年末に行われる方向で調整が進められていました。ただ、いまは落ち着いているコロナの新規感染者数が、年末にどうなっているか不透明で、公演を主催する松竹は発表に二の足を踏んでいました。事が進んだ背景には、歌舞伎役者の尾上菊五郎さん(79才)が4月に“今年中には團十郎が誕生しそう”とフライング発言をしたことがありました」(別の歌舞伎関係者)
延期期間中、海老蔵は芸事のみに集中していたわけではない。『女性セブン』は今年3月、海老蔵の奔放なプライベートを複数回にわたってスクープした。SNSでナンパした女性との交際や、亡き妻・麻央さん(享年34)との思い出が詰まった邸宅での女性との密会もあった。同時に、麻央さんの姉・麻耶(42才)からの批判が向けられた。
「プライベートばかりが話題になる海老蔵さんに対して、やっかみも含めてですが、歌舞伎界の重鎮や贔屓筋は少なからず眉を顰めていました。一方で、歌舞伎座の舞台にはこの2年半で2度しか立たず、『プペル歌舞伎』などの自主公演にばかり熱を入れる姿勢にも疑問の声が上がっていました。
数少ない歌舞伎座での公演だった『團菊祭五月大歌舞伎』で、有名な演目である『暫』を演じましたが、関係者からは、“発声がよくない”という厳しい意見も聞かれました。歌舞伎座の舞台にほかの役者と一緒に出ていれば、アドバイスや意見をもらうこともあったでしょうが、その機会が限られていたことが、マイナスに出てしまったかもしれません」(前出・別の歌舞伎関係者)