どんな時でもがむしゃらな全力プレーが魅力の巨人・増田陸(時事通信フォト)

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“FA補強で強くなる”戦略からの転換

 原辰徳監督は2006年の第2次政権誕生以降、通算13年間で8回のリーグ優勝を果たしている。その間、松本哲也や山口鉄也など育成から這い上がった若手もいたが、その栄光はFAなどの補強なしでは語れない。

「2007年からの3連覇は小笠原道大(前・日本ハム)、ラミレス(前・ヤクルト)、クルーン(前・横浜)、2012年からの3連覇は村田修一(前・横浜)、杉内俊哉(前・ソフトバンク)、2019年からの2連覇は丸佳浩(前・広島)、炭谷銀仁朗(前・西武)の移籍がなければ実現しなかったでしょう。逆に昨年はFA加入の梶谷隆幸、井納翔一(ともに前・DeNA)が活躍できず、優勝できなかった。FA選手の出来不出来に、チームの成績は大きく左右されてきました。

 しかも、ここ数年は他球団の大物はFA権を行使せずに、複数年契約を結んで残留している。この流れは加速していきそうです。そうなれば、今後の巨人は“FA補強で強くなる”という戦略を取れなくなる。原監督は時流を読んで、若手起用に舵を切っているのでしょう。今までなら、5月にファーストに高卒4年目の増田陸、6月にキャッチャーに高卒3年目の山瀬慎之助をスタメン起用するのは考えられない」

 1993年オフにFAと逆指名ドラフト(2006年まで)が導入され、巨人はその恩恵にあずかってきた。1994年以降の1990年代は2回、2000年代は5回、2010年代は4回優勝を果たした。だが、2つの制度のなかった1980年代も3回優勝している。しかも、全てAクラスに入っていた。10年全て3位以上は2リーグ分裂以降の年代別で見ると、ドラフト制のなかった1950年代と1980年代しかない。

「補強に頼らなくても、強いチームを作れる。1980年代の安定的な成績は、ベテランに差し掛かる選手のFA獲得よりも、若手を一人前に育てる方がチーム力の安定に繋がるという証拠でしょう。当時はほぼ10年間、一塁・中畑清、二塁・篠塚利夫、三塁・原辰徳、遊撃手・河埜和正(前半)、岡崎郁(後半)でしたから。

 その陣形が崩れた1989年は、緒方耕一や川相昌弘などが台頭して日本一になった。この時の主力は現在の原監督であり、桑田真澄投手コーチです。2人は、当時の藤田元司監督を師と仰いでいる。原監督はFA補強で優勝を勝ち取った面もありますが、坂本のように若手を育てた経験もたくさんある。今年、若手投手陣がたくさん出てきているのは桑田コーチの指導の賜物でしょう」

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