「純烈」が今再び注目を集めている。2021年6月、温泉の宴会場で無観客ライブを行った(時事通信フォト)
「えぇ!? ダメなの?」と納得がいかない野々村に改めて、なぜ「純烈」に入りたいのかを聞いてみたところ、1985年~86年、ソロ歌手としてシングル3枚、アルバム1枚をリリースしていたことを挙げ、当時のファンの前にもう一度、立ちたい…と。最後まで2枚目の顔で通した野々村真、本気で「純烈」加入を夢見ていたのである。
実は『アップ!』のオンエアよりも前、東京では上島竜兵さんが亡くなってから初めて『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)にゲスト出演したダチョウ倶楽部の肥後克広と寺門ジモンが「『純烈』のオーディションに合格したんです」と明かしていた。実際にオーディションがあったか否かは定かではないが、直接リーダーの酒井に会って合否を確認したという二人は「合格です」と言われたと。それは忽ちネットニュースにあがった。
それについては同日夕方の『5時に夢中!』(TOKYO MX)でも話題になった。『~ビバリー昼ズ』を聴いていたというミッツ・マングローブは、ダチョウ倶楽部の「純烈」入りに未だ半信半疑の様子だった。が、同番組MCで元ニッポン放送のアナウンサーの垣花正が見た「純烈」の公式YouTubeで、リーダー・酒井が以前、上島竜兵さん率いる「竜平会」のイベントスタッフをやっていたという“縁”あってのことだと説明。ミッツもやっと納得していた。前述の追悼コメント後、酒井が「推すなって? 純烈は絶対推しますよ 」とツイートしていたのも、そうした縁があったからこそのことだったのである。
“おひねり”や紅白出場など「優良企業」
それにしても、なぜ著名なタレントたちは「純烈」に入りたがるのか。『女性セブン』は、同グループが給料制で不況に強いことや、ギャラとは別にファンからの“おひねり”があること。そしてそれらはメンバーに均等に分配されること。加えて『NHK紅白歌合戦』に4年連続で出場する「純烈」は「優良企業」だと分析している。
『紅白』出場は、演歌・歌謡曲の歌手にとって、翌年の営業の数やギャラに大きな影響を与えると言われてきた。2019年1月、一部週刊誌で報じられたスキャンダルを理由にメンバーの友井雄亮氏が脱退した際も、『紅白』への連続出場の旗を下げることなく、こだわり続けた彼ら。友井氏の単独会見後、残るメンバーが涙を浮かべながら対応した会見に筆者は行っているが、リーダー・酒井の意思は極めて固く、友井氏の将来を思いやりながらも、キッパリ決別して残るメンバーと共に前を向くことを記者らに明かす様子が印象的だった。果たして友井氏の脱退によるグループへのネガティブな影響は皆無だったのである。
その後、コロナにより、スーパー銭湯やコンサート会場でファンとの“密”な触れ合いを大切にしてきた「純烈」には真っ先に危機が訪れた。しかし、その都度、リーダーであり、プロデューサーでもある酒井を中心に「純烈」は、さまざまな発信をしてきたものである。
「純烈」メンバーの多くは、戦隊モノに出演経験がある俳優だが、酒井だけは5代目“あばれはっちゃく”の子役出身。レスラーとして「マッスル」に継続参戦し、「プロレス名鑑」に載った後、前述のようにイベントプロデューサーになる。本拠地である『新宿ロフトワン』は確かに芸人から文化人までが個性的なイベントを数多く行ってきた。そこで、酒井はプロデューサーとしてのセンスや発想力に磨きをかけたと思われる。「純烈」結成を思い立ったのは、2008年で、2010年に『涙の銀座線』でデビュー。それから数年後、「純烈」をきっかけに「演歌男子ブーム」が起こり、多くのグループがデビュー。BSやCSには専門チャンネルや歌番組が誕生し、近年は「演歌第7世代」と呼ばれる若手の歌手も育ってきている。
