振り返れば、酒井は名プロデューサーであり仕掛け人だったのである。さらには、『バイキングMORE』(フジテレビ系)をはじめ、何度かコメンテーターとしての酒井を見たことがあるが、腰が低く、決して人を傷つけない配慮にあふれたコメントに聴き惚れた記憶がある。
近年は文筆家としての一面をもち、2020年から開始した『婦人公論』の連載「酒井一圭のお悩み相談室」の流れで、2021年には単行本『純烈人生相談室 僕のお腹で、泣けばいい』を上梓。競馬で破滅し、複雑骨折で一時は歩行不可能と宣告されて、「山→谷底→谷底→谷底→ちょっと山…。自身、苦しい時代が長かったからこそ、大好きなんです、ひと様の悩み相談が」と記した酒井の人柄に惹かれ、「純烈」に加入し、共に盛り上げたいと思う有名タレントが後を絶たないのは、リーダー・酒井一圭の人心掌握力も大きく関係しているのではないか。
だからこそ、『アップ!』(メ~テレ)のスタジオにいる野々村真へも酒井自らが丁寧なコメントを寄せたのだろう。リーダーであり、名プロデューサー。そしてダチョウ倶楽部の肥後克広と寺門ジモンが何らかの形で「純烈」に関わることは、キャラクターの強い小田井涼平が抜けた後も安泰だということだ。
そして20日には、「純烈」の主演映画『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』が9月1日より全国公開されることが発表された。なんというタイミングだろうか。「小田井さんが今年で卒業してしまうので、この4人での純烈ジャーはラストです。(中略)東映特撮の粋を集結したロボ戦、アクションは大注目です! 日本アカデミー賞いただきます」とは酒井のコメントである。また21日には、酒井とメンバーの白川裕二郎が『ポップUP!』(フジテレビ系)の「スター☆ニュース速報」に出演。リーダー、プロデューサーのみならず「人事部長」だという酒井がダチョウ倶楽部の「純烈」入りの真相を「テレビで初めて」語った。ちなみに同日発売の写真週刊誌で2組は対談をしているという。
さらには『うたコン』(NHK)のMCでもある谷原章介がVTRで出演し、「毎日ニュースになっている」「酒井さんのプロデュース力はすごい」と絶賛。気持ちがいいほどにストーリーが出来上がっている。
ちなみに、ダチョウ倶楽部が所属する「太田プロ」で「純烈」に加入した暁に着る衣装の採寸も終えたのだとか。酒井は「我々もメンバーを失ったとき、前川(清)さんや(ビート)たけしさんに助けてもらった」と言い、ダチョウ倶楽部の二人を「励ますつもり」「元気になってもらいたい」「熱湯風呂とスーパー銭湯の“お風呂つながり”」「ダチョウ倶楽部さんはこれまで仕事を断ったことがない」など、見出しになるようなエピソードを段積みしたのである。なんと頼もしいことだろう。
とにかく、現メンバーでラストとなる今年の『NHK紅白歌合戦』は当確間違いナシ。もしかしたらダチョウ倶楽部の参戦もあるかもしれない。「小田井さんの代わりは来年合流」「最後の3択までしぼられている」と酒井は“匂わせ”も忘れなかった。もしかすると「純烈」加入を夢見た有名タレントらはみな酒井のお腹の上で踊らされていたのかもしれない。『純烈』リーダー、酒井一圭、稀代の名プロデューサーである。
◆山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)などに出演中。CM各賞の審査員も務める。