世界的な資源価格の高騰と円安というインフレ局面で、政府は高齢者を苦しめる残酷な年金新ルールを適用したのである。
ちなみに、年金改定では物価は前年度の統計数値、賃金は前々年度から3年間の平均値で計算され、年金支給額が決まる。今回の年金減額は主にコロナ前(2018~2020年度)に実質賃金が下がった分で、感染拡大による残業カットや休業など“コロナ賃下げ”は来年度の年金支給額に反映され、年金支給額がもっと減らされると予想される。
仮に、日本経済が奇跡の高度成長を遂げ、物価上昇を上回る賃上げが行なわれたとしても、年金は増えない。日本の年金制度には、年金額を減らすための数多くの仕組みが盛り込まれてきたからだ。
※週刊ポスト2022年7月8・15日号