国内

【真夜中の六本木60年史・後編】バブル期の喧騒と再開発、アンダーグラウンドな一面も

東京23区でも格差は広がる(時事通信フォト)

人はなぜ、六本木に惹かれるのか…(時事通信フォト)

 夜、そこは妖しげに輝く繁華街に一変する。男女の欲望渦巻く「真夜中の六本木」。そこになぜ、人は吸い寄せられるのか──。テレビ朝日系ドラマ『六本木クラス』の舞台でもある六本木。財界の重鎮も、第一線の人気芸能人も、そしてお金のない若者も、誰もが取りつかれてしまう魔力の源に迫る。【前後編の後編。前編から読む】

 1980年代に日本がバブル経済に突入すると、六本木の大衆化が進んだ。

 1984年に宮殿ディスコ「マハラジャ」が麻布十番にオープンし、翌年には六本木にディスコ「エリア」が登場した。ツートップを抱く六本木エリアには、数十軒のディスコが立ち並んだ。

 当時、人気絶頂だったチェッカーズのメンバーや田原俊彦(61才)など遊び盛りの若い芸能人が集い、「ギロッポンでミーノーする」といったギョーカイ用語が流行した。一般のサラリーマンやOLも六本木交差点にある喫茶「アマンド」前で待ち合わせては、夜の街に繰り出した。

『六本木クラス』に出演する香川照之(56才)は、東京大学を卒業した1980年代後半から六本木のディスコに入り浸るようになった。遅めの六本木デビューを果たした香川はウェブサイト「ラクティブ六本木」のインタビューでこう語っている。

《あの頃はとにかく六本木に行こう、行かなきゃ始まらないみたいなところがありましたよね。渋谷ではまだ子供、というか(笑)。“六本木に行かないと二十歳(ハタチ)になってない”なんてイメージがあったくらい》

 1991年、芝浦に「ジュリアナ東京」、1994年には六本木に「ヴェルファーレ」がオープンして、喧騒は頂点に達する。

 ジュリアナで踊りまくり、「お立ち台の女王」として脚光を浴びた「荒木師匠」こと、荒木久美子さん(52才)がこう語る。

「芝浦には夜遅くまでやっている店がなかったので、ジュリアナの営業時間が終わってから女友達のアッシーくんに六本木まで送ってもらって、朝方までやっているディスコやカラオケ店に行っていました。金・土曜で週2回くらい、朝までオールでしたね」

 当時の六本木は、華やかで「粋」な大人が集まる社交場だったという。

「木・金・土曜は六本木交差点をタクシーで通りすぎるのに40分もかかる賑わいでした。遊んでいるのはおしゃれでカッコいい大人が多かった。たくさんお金を使う方がカッコいいとの風潮のなかで、“カネを使っているんだからお前らはおれにひれ伏すんだ”という人がいた一方で、若くても恩着せがましくせず、ご飯をごちそうしてくれる人がいました。

“経済的に豊かでない若者を自分たちが支えるのは当たり前じゃないか”というオジサマやオバサマもいっぱいいました。六本木にはそうした“粋”な人がたくさんいて、自分も背伸びして仲間入りしたいと思っていました」(荒木さん・以下同)

 当時、夜の街でスポーツ界や芸能界の面々と出くわすことも多かった。

「私が遊んでいたときにブイブイ言わせていたのは、サッカーの武田修宏さん(55才)や北澤豪くん(53才)、ラモス瑠偉さん(65才)たち。石田純一さん(68才)と長谷川理恵さん(48才)が遊んでいたクラブで同席したこともあります」

 荒木さん自身はお立ち台でノリノリのように見えて、結構冷静だったと振り返る。

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン