歌舞伎座(東京・新橋)にて、7月4日から上演されていた『七月大歌舞伎』は7月19日、新型コロナウイルス感染症の陽性者が複数名出たことを理由に、急きょ第二部と第三部の公演が中止された(第一部は18日、19日が公演中止)。
「遅きに失した、とはこのことでしょう。七月大歌舞伎の関係者すべてにPCR検査を実施したわけではないものの、7月19日時点での陽性者は30人はくだらない。7月4日の初日の直後から体調不良者が続出し、実際には“クラスター状態”に陥っていたのに公演を続けたことが、さらに感染を拡させたのではないか。看板役者たちにも感染が広がっているようで、困惑しきりです」と舞台関係者は明かす。
7月に入って全国で新規陽性者が急増し、「第7波」が到来した。7月16日には全国で約11万人が感染し、1日の感染者数が過去最多となった。
七月大歌舞伎を公演中の歌舞伎座の内部でも、急速に感染が拡大。
「初日の直後から、『名題下(なだいした)』と呼ばれる脇役の役者たちや、裏方のスタッフの間で、次々に体調を崩す人が出たんです。PCR検査を受けると感染が続々と発覚し、7月半ばの時点で感染者は10人弱いました。ただ、関係者一斉のPCR検査は行われず、その間、何事もないように公演も続いていた。出演する市川海老蔵さん(44才)や市川猿之助さん(46才)、尾上菊之助さん(44才)たち看板役者の耳にも入っており、心配そうにしていました」(歌舞伎座関係者)
そんななかで、歌舞伎を騒然とさせる事態が起きる。
「7月16日のことです。楽屋に出入りしていた公演関係者が体調不良により重篤な症状に見舞われました。危険な状態と判断されたので、救急車の出動を要請したのです。歌舞伎座の裏口に救急車が到着し、舞台裏は一時、騒然としました。その公演関係者も、コロナ陽性が確認されたそうです。いよいよ役者の一部からも『公演は中止すべきではないか』との声が上がり始めたのですが、それでも翌17日も公演は決行されました」(前出・歌舞伎座関係者)
舞台上では、もちろん役者たちはマスクやフェイスガードをつけない。声を張り上げての演技には、相応の感染リスクがある。さらには、裏方や劇場関係者だけでなく、客席で舞台を見つめる観客も、まったく安心とは言えない。松竹広報室に質問すると、こう説明した。