引退後、何度も巨人の監督候補に名前が上がった中畑清氏(時事通信フォト)

引退後、何度も巨人の監督候補に名前が挙がった中畑清氏(時事通信フォト)

筒香、梶谷、桑原らを育てた力

 仮に負け越し、Bクラス転落で原監督辞任となった場合、誰が新たに指揮を執るのか。

「内部昇格の可能性は薄い。当然、低迷の責任は監督だけでなく、コーチ陣にもあると考えられる。総辞任になるでしょう。すると、阿部慎之助ディフェンスチーフコーチ、桑田真澄投手チーフコーチ、元木大介ヘッドコーチは消える。

 前監督の高橋由伸氏は候補に上がりそうですけど、前回の就任も戦力の過渡期に任され、結果を残せなかった。読売としては由伸に負い目があるし、戦力が整った時に満を持して登場させたい。若手の成長、人気の回復を狙いたい現状を考えると、OB会長の中畑清・元DeNA監督を起用する芽も出てくるのではないでしょうか」

 巨人の第45代四番打者である中畑氏は1980年代を代表する生え抜きの選手で、どんなに不調でも『絶好調!』と叫んで人気者になった。明るいキャラクターばかり注目されるが、シーズン2割9分以上を6度(3割達成3度)記録し、通算打率2割9分の好打者でもある。

 引退後、何度も巨人の監督候補に名前が挙がったものの実現せず、2012年から横浜DeNAの監督を務めた。就任以前の10年で最下位8度というチームで筒香嘉智や梶谷隆幸、桑原将志などの若手を育て上げた。成績は4年間で5位2回、最下位2回だったが、のちにクライマックスシリーズに進出できるチームの礎を作った。

「FA補強が難しくなり、若手を鍛え上げなければならない今の巨人に一番合っている人物ではないでしょうか。DeNAではラミレスや中村紀洋という実績のあるベテランから、若手主体の戦力に切り替えた点も評価できる。また、どの若手を抜擢すべきかという眼力もある。筒香は誰しも認める素材でしたが、梶谷に注目している人は少なかった。

 選手を適材適所で使う手腕もあり、新人の山崎康晃を抑えで起用したり、周囲の反対を押し切って山口俊をリリーフから先発に回したりして成功させた実績もある。中畑監督になれば、今巨人で不調の山口俊や井納翔一、怪我をしている梶谷という元DeNAの復活もあるかもしれません。特に、“宇宙人”と呼ばれるほど独特なキャラクターの井納は巨人のチームカラーに合わずに苦労している面がある。中畑氏はDeNA時代から彼の性格を熟知してかわいがっている。もし残留になって、中畑監督就任となれば、少なくとも今のような状態からは抜け出せるのではないか」

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