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「肛門がん」マイナーゆえに誤診リスク 潜在患者数少なく見積もられているとの指摘

「肛門がん」は医師による誤診のリスクも(イメージ)

「肛門がん」は医師による誤診のリスクも(イメージ)

「少しぐらい痛くても大丈夫だろう」──病院に行くのが恥ずかしいこともあいまって、ついつい「痔」を放置していないだろうか。24年間にわたり、約10万人の肛門を診てきた医師で、『痛み かゆみ 便秘に悩んだらオシリを洗うのはやめなさい』(あさ出版)の著書がある大阪肛門科診療所の佐々木みのり副院長が指摘する。

「“痔だと思っていたら、がんだった”という患者はいます。痔は肛門の良性疾患の総称で、『裂肛(切れ痔)』『痔核(いぼ痔)』『痔ろう(あな痔)』が3大痔疾患です。特に痔ろうには注意が必要で、炎症が起こった状態を長期間放置すると『痔ろうがん』になるリスクが出てきます」

 肛門にできるがんは、痔ろうがんだけではない。日本大腸肛門病学会指導医で、さいたま新開橋クリニックの佐藤知行院長が指摘する。

「肛門というとお尻のすぼんだ部分をイメージする方が多いでしょうが、その奥に4.5cmほどの長さの管があります。医学的に『肛門管』と呼ばれるこの部分にできた肛門管がんと、肛門の出口付近にできた皮膚がんのことを『肛門がん』と呼びます」

 見逃しだけでなく、医師による誤診のリスクもある。埼玉県在住の60代男性Bさんは排便のたびに出血が続き、近くの総合病院の肛門科に行くと、いぼ痔と診断された。塗り薬をもらったが半年ほど経っても症状が改善せず、再度同じ病院を訪れると、今度は「直腸がん」と診断されたという。そして、こう告げられた。

「進行がみられたため早急に外科手術が必要で、医者からは『術後、ストーマ(人工肛門)になります』と告げられました。しかし、肛門専門医にも診てもらったところ、『これは直腸がんではなく肛門管がん。放射線治療と抗がん剤で治療が可能かもしれない』と告げられました。結局外科手術を回避して、人工肛門を免れました」(Bさん)

 佐藤医師は「肛門がんはマイナーながんのため、慣れていない医師は誤診しやすい」と指摘する。

「肛門管にできるがんには、発現場所によって主に『扁平上皮がん』と『腺がん』の2種類があり、治療法が異なります。腺がんは大腸がんや直腸がんと同じく、外科手術でがん組織を切除します。腺がんが肛門管に浸潤している場合は肛門を切除して縫い綴じ、人工肛門が必要になります。一方の扁平上皮がんは放射線治療と抗がん剤治療が主流で、保存療法が可能です。

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