スポーツ

【独占密着・聖隷クリストファー】センバツ落選の上村監督が夏を前に明かしていた複雑すぎる心中

甲子園出場はかなわなかった聖隷(写真は今久留主倭)

甲子園出場はかなわなかった聖隷(写真は今久留主倭)

 地方大会を勝ち抜いた49校が、いよいよ8月6日に開幕する夏の甲子園に挑む。春のセンバツで“まさかの落選”が大騒動となった聖隷クリストファーは静岡大会ベスト4まで勝ち進んだものの敗退。聖地への切符を獲得することはできなかった。「失意の春」から「夏の奇跡」を目指した同校は、どんな思いで大会に臨み、勝ち上がったのか。本誌・週刊ポストでセンバツ直前に選考委員や高野連会長の証言をスクープしたノンフィクションライターで『甲子園と令和の怪物』著者の柳川悠二氏が独占密着した。【全3回の第1回】

 * * *
 今年1月の第94回選抜高校野球大会の出場校を決する選考委員会において、昨秋の東海大会で準優勝しながら、落選の憂き目にあったのが静岡の私立・聖隷クリストファー高校だった。コロナ禍によって甲子園が中止となり、県の独自大会となった2年前の夏こそ静岡を制した経験があるものの、これまで甲子園出場は春夏通じて一度もない。

 今夏は静岡大会のベスト4まで勝ち進んだ。7月27日の準決勝・静清戦は雨によるサスペンデッドとなり、翌日の継続試合の末、0対3と惜敗した。まさかの悲劇を味わった聖隷クリストファーに、悲願の甲子園初出場という奇跡は起きなかった。

 ゲームセットからしばらく時間が経過したあと、主将の弓達寛之は上村敏正監督(65)に対する思いを打ち明けた。

「上村先生は常々、『人生は思い通りにはならない』という言葉を僕らに投げかけていただいていました。春に(甲子園に)行けなかった分、先生の野球を証明してやるんだという気持ちでやってきたつもりですが、先生の野球がまだまだ分かっていなかったから、こういう結果になったんだと思います」

 弓達は昨秋に負った右ヒジのケガの影響で、この夏はマウンドに上がることが難しい状況にあった。大会期間中は、体調不良によって一時的に選手登録を外れたこともあった。敗北の直後、弓達だけは涙を流していなかった。その理由がこの時、わかった。

「悔しすぎて、涙も出ませんでした。必ずこの悔しさを次の人生に活かしていきます」

「燃えたぎるものがない」と語っていた上村監督

 今年1月、聖隷の落選が決まった日の2日後、私は浜松駅から車で30分ほどの聖隷グラウンドに足を運び、上村監督への独占インタビューを敢行した。落選の一報を聞いて、「頭が真っ白になりました」と語った上村監督は、怒気混じりにこう続けた。

「しばらく時間が経ち、新聞やテレビの報道などで落選の理由を知った今となっては、憤りの感情もあります」

関連キーワード

関連記事

トピックス

神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン