行政サービスの無料相談窓口へ行けば、ソーシャルワーカーが必要に応じた手段を提案してくれることもある。また、金銭的な被害が出ている場合は、霊感商法に強い弁護士に相談するのもいい。リンク総合法律事務所所長の紀藤正樹さんが言う。
「陰謀論に興味を持つ人はカルト教団に接触されやすく、最近はSNSでの発言をきっかけとしたカルトへの勧誘が活発になっています。マインドコントロールの程度が浅ければ家族の声かけで元に戻ることもありますが、深みにハマっているとそうはいかず、弁護士のところへ相談に来る人が多い。
カルトでは、霊感商法などのほか、極端な低賃金で働かされることもあるので、常識として社会的におかしいことを指摘しながら話し合いを重ねます。やり方やタイミングはその時々の状況によって変わるため、専門家がタイミングを計ることが極めて重要になる。
今年は2人の女性がある団体を辞めるサポートをしましたが、2年かかりました。ただ、団体を離れたり、仮にお金が返ってきても、精神的被害が回復するのは数十年単位となる。予防に勝る被害救済はありません」
長い期間、説得を続ける家族が冷静さを維持するためにも専門家の援助は不可欠だ。
「第三者の支援がなければ家族の心が折れてしまう。苛立って本人に怒りをぶつけると、本人はますます意固地になり、悪循環になりやすい」(藤井さん・以下同)
引っ越しなどで、環境を一変させるという方法もある。しかし、中途半端なやり方では失敗する可能性が高い。
「海外転勤や長期入院がきっかけで、カルト団体と物理的な距離が生まれ、そのままマインドコントロールが解けたケースもあります。しかし、引き離せばいいわけではない。団体と引き離そうと考え遠くに引っ越した家族がいましたが、洗脳されている当人は電車で3時間かけて教会に通い、団体と接触し続けていました」
カルトや陰謀論にハマった家族を「恥ずかしい」と考え、性急に解決しようとするのは逆効果。専門家の助けを得ながら根気強く向き合えば、解決策が見えてくるはずだ。
※女性セブン2022年8月18・25日号