実は“最下位慣れ”していない中日(立浪和義・監督。時事通信フォト)

弱くても最下位にはなりません!?(立浪和義監督。時事通信フォト)

達川光男氏が分析する「最下位になるチーム」の特徴

 現在4位の広島は中日と同じく、2000年以降で最下位は1度だけ(2005年。山本浩二・監督時代)。そして現在5位の巨人は、球団創設以来、最下位となったのは長嶋茂雄・監督が就任1年目の1975年だけ。逆にいえば、ここ20年余りの最下位は、ほとんどヤクルト、DeNA、阪神の3チームで分け合っていたということである。

 1980年代の広島黄金期を正捕手として支え、現役引退後は広島で監督、阪神・中日などでコーチを務めた野球評論家・達川光男氏が語る。

「実は、僕は広島での現役時代(1978~1992年)も監督時代(1999~2000年)も、そしてコーチ時代(ダイエー、広島、阪神、中日、ソフトバンク)も、ユニフォームを着た20年間以上で、一度も最下位になったことがないのが自慢です(笑)。最近は“CSに出られなければ何位でも同じ”みたいな言われ方もするけれど、やっぱり選手や監督にとって“一番弱いチーム”という結果は不名誉。4位と5位は同じようなものかもしれないけれど、最下位にだけはなりたくないというのが本音ですよ」

 では、「最下位になるチーム」にはどのような特徴があるのだろうか。達川氏が分析する。

「目標を見失ったチームは難しいよね。もともと優勝を狙っていたチームと、“何とかAクラスに”という気持ちでシーズンに臨んだチームでは、選手の士気が違う。優勝を期待されていたチームの場合、“じゃあCSを目指そう”とは簡単に切り替えられない」

 残り30試合を切った状況だが、現在の順位はあまり参考にならないという。

「中日は6月以降ずっと最下位だけど伝統的にしぶとい球団で、何より立浪(和義)監督は星野(仙一)さんに似て負けず嫌い。“就任1年目で最下位”を絶対に許せない性格です。それに後半戦で調子を落としている巨人とは親会社が新聞社同士。“巨人より上に行く”という気持ちで直接対決に臨めば、逆転は十分にある。4位の広島も若手がレギュラーを掴もうとして頑張っているから、最後まで消化試合という意識がない。コロナ感染で離脱した選手たちが調子を取り戻せば、安定してくるだろう。この2チームの調子には上振れ要素があるように思う」(達川氏)

 むしろ人気球団の2チームで最下位を争う展開が考えられると達川氏は語る。

「過去3シーズンがAクラスで人気球団でもある巨人と阪神は、ファンの反応も冷たくなり始めているよね。巨人は戸郷の最多勝くらいしか個人タイトルの望みがなく、菅野(智之)や丸(佳浩)や坂本(勇人)といった中堅に覇気を感じない。阪神は矢野(燿大)監督がシーズン前に退任宣言をしたのが、ここに来てマイナスに働くのではないか。3位から転落した途端にガタガタになってしまう心配がある。両チームの直接対決は残り4試合だけど、9月2日からの甲子園3連戦で負け越したチームは、最下位になる可能性がぐっと高まりそうな気がする。もし台風の影響でこの3連戦が順延になったら、シーズン最終盤に直接対決が組み込まれる。“伝統の一戦”と呼ばれたカードが“裏天王山”になるとしたら衝撃だよね」

 CS進出か、最下位か――。“ビリ慣れ”していないチームの最下位争いは、これから熾烈を極めていく。

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