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村上宗隆はメジャーで通用するのか 乗り越えるべき日米投手の違いとポジションの壁

昨年までのスイングとは何が違う?(時事通信フォト)

将来メジャーに移籍した場合、どこまで通用する?(時事通信フォト)

 日米の球界で最も注目を集める選手がエンゼルス・大谷翔平(28)とヤクルト・村上宗隆(22)であることは論をまたない。今季三冠王も射程圏の村上が、将来メジャーに移籍した場合、どこまで通用するのか注目しているファンもいるだろう。

 もちろん、村上が大谷のようにメジャーで飛躍をするためには乗り越えなければいけない壁もある。メジャーリーグ評論家の福島良一氏が語る。

「日本とメジャーのピッチャーの最大の違いは球の速さと角度ですね。まずはこれに対応できるかどうか。それに加えて求められるのが、動きながら落ちる変化球への対処です。日本のプロ野球でも変化球は多彩になってきたが、メジャーで多いチェンジアップとムービングファストボールには及ばない。これらのボールに日本人打者は悩まされている。

 そうしたなかで大谷は、速い球と動く変化球に対応できるテクニックに加え、瞬発力も高いからメジャーでパワーヒッターとして成功を収めている。村上も、少なくとも最初のうちは相当苦しむでしょう」

 広島からポスティング・システムを利用し、今年からカブスでプレーしている鈴木誠也もメジャー特有の球への対応に苦しみ、〈(打つ)ポイントが近くなり過ぎる〉と語っている。

 村上が大谷の域に達するには、日本人投手とは全く違うスタイルにどう対応するかがカギとなりそうだ。2008年にメジャー挑戦した野球評論家・前田幸長氏はこう期待を込める。

「大谷、松井秀喜、青木宣親といったメジャーで実績を残した日本人選手を参考にして良いところを取り入れてほしい。大谷もメジャーに行ってからノーステップやすり足にしてタイミングの取り方を工夫しています。ヤクルトには青木というメジャー経験のある先輩がいるので、海を渡る前に多くのことを吸収できるのではないでしょうか」

 村上の課題を修正する適応能力の高さは数字が物語っている。1年目は本塁打数がわずか1本だったが、2年目に36本塁打と大ブレーク。続く3年目はミート力、選球眼を高めて打率.307と、前年の打率.231から大きく伸ばした。メジャーでもこうした適応能力を見せられるかがポイントとなりそうだ。

 激しい競争を勝ち抜くことは容易ではない。野球評論家・広澤克実氏が語る。

「村上はメジャーでもサード、ないしファーストを守ることになるでしょうが、それらのポジションはクリーンアップを打つ強打者がいることが多い。村上が勝負しなければならないのはそういった選手で、投手で結果を残すなかでDH起用される大谷とは環境が違う。当然、大谷以上にコンスタントに数字が求められます」

※週刊ポスト2022年9月9日号

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