超高齢化が進む中、健康長寿を達成するために運動はますます重要になる。チャックさんは今後もライフワークとして、日本人の健康づくりを手伝うつもりだ。
「高血圧や糖尿病、肥満、高脂血症などの生活習慣病には、標準的な運動療法が定められています。高齢者はあきらめている人が多いけど、60歳からでも少しずつトレーニングを始めれば、元気よく生きる時間を伸ばすことができます」
健康に関するさまざまな情報が氾濫する現代だが、チャックさんは「健康と体力づくりは目標ではなく(楽しい人生を送る)手段」だと指摘する。
「元気に歳をとり、制約のない人生を過ごすためには、ただ運動するだけではだめ。科学的な根拠に基づいてランニングしたり、筋力トレーニングをすることが大切です。これから先も、できるだけ多くの人に正しい運動法と健康法を教えていきたい」
車椅子生活の妻を介護
そう話すチャックさんも、すでに後期高齢者となった。老後をともに過ごす妻は同い年のアメリカ人で、27才の時に通っていたプールで出会って恋に落ち、交際1か月でプロポーズした。日本をこよなく愛するアメリカ人の夫婦は、まもなく金婚式を迎える。
「女房は数年前に甲状腺を患ってからだんだん体が動かなくなり、いまは車椅子の生活。食事や洗濯、掃除などはすべて僕がやっています。僕は若い頃につらい経験をしたこともあり、子供を作らなかった。はっきり言って育てる自信がなかったからね。その分、一緒に人生を歩んできた女房が最高のパートナー。夫が介護をするのは当然です」