芸能

不正な高額転売チケットを利用して悪びれない人たちの言い分

東京ドーム周辺に掲げられたダフ屋行為を禁ずるのぼり(時事通信フォト)

東京ドーム周辺に掲げられたダフ屋行為を禁ずるのぼり(時事通信フォト)

 人気のコンサートや舞台、スポーツイベントなどのチケットを、定価を大幅に上回る価格で販売する高額転売は、2019年6月14日から施行されている「チケット不正転売禁止法」により、刑罰のある違法行為となった。違反すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科される。これら新法や新型コロナウイルスの影響もあり、ダフ屋をまとめていた組織の解散が報じられた。ところが、チケットの高額転売はなくならず、トラブルも多発している。ライターの宮添優氏が、今なお堂々と高額転売チケットを売り買いしている人たちの実態をリポートする。

 * * *
 コンサートや観劇、スポーツなど、人気がありなかなか入手できないとされるチケットの売買を巡り、トラブルが相次いでいるとして、国民生活センターが注意喚起を行っている。

 売買は主に、チケットの転売サイトやSNSを通じた個人間取引によるもので「代金を支払ったのに相手と連絡が取れなくなった」「転売チケットで入場しようとしたら、スタッフに拒否された」などのトラブルが頻発しているという。コロナ禍で多くのイベントやコンサートが中止になっていたが、最近では、感染対策などをとった上で開催の判断を下すプロモーターや興行主が増加。トラブルのさらなる増加に歯止めをかけるべく、転売の厳しい取り締まりが必要だ、と誰もが思うだろう。

 しかし、年に何度も10万円近い転売チケットを購入しているという、アイドルファンの看護師・藤原夏海さん(仮名・20代)の見解は、全くの逆。転売問題は、転売を行う人より、むしろ興行主の責任ではないのかと怒りを露わにする。

「行きたいのにいけない人たくさんいるから、転売でもいいから欲しいってなっちゃう。だから私も年に数回、推しのアイドルの転売チケットを、一枚数万~10万ほどで買います。もっと公演数や日程が多ければ、転売チケットを買わなくても良いはず。それをやらないからチケットが転売される。あっち(興行主)がおかしいんです」(藤原さん)

 券面価格によるリセール(再販売)が公式に認められている公演が増え、リセールのためのやりとりを仲介代行するサービスも複数、提供されるようになってきた。公式リセールが指定される公演も増えてきたことから、高額転売に煩わされなくなってきたと言われているが、まだ一部の人気アイドルやアーティストはリセールを認めていない。だからなのか、どんな手段をとってでも望みの日時と座席のチケットを手に入れたいからと、SNSや監視の甘い仲介サービスを利用して、リスキーなやりとりを続けている。

 実は藤原さん、件のライブに参加するため、年間数千円の会費を支払いファンクラブにも加入している。しかし、ファンクラブに支払う会費は、年に10万円を超えている。なぜか。

「チケットはファンクラブ会員が優先的に購入できるので、会員になることは絶対条件。でも、会員一人分では当選する確率も低い。なので、親や友人に名前を貸してもらいファンクラブに入ってもらう。もちろん会費は私が払うので、みんな快く引き受けてくれます。それでも当選しないので転売チケットを買う」(藤原さん)

 藤原さんの話を聞くまで、転売チケットを購入する人というのは、転売屋などに騙された、気の毒な人だと思っていた。是が非でも参加したいイベントがあるのに、転売屋などに邪魔をされ、仕方なく高額な転売チケットを買うしかない人たち、と考えていたのだが、どうもそれだけとは言い切れない現実があるようだ。

関連記事

トピックス

過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン