ビジネス

猛暑バブルに沸いた2022年夏 「まだ暑いままでいて欲しい」と望む人たち

埼玉県熊谷市で気温が40度を超え、百貨店前の看板に張り出された最高気温。2022年7月1日(時事通信フォト)

埼玉県熊谷市で気温が40度を超え、百貨店前の看板に張り出された最高気温。2022年7月1日(時事通信フォト)

 3年ぶりに行動制限がない夏は、これまで辛抱していた旅行やレジャー、外食にと出かける計画を考えていたが、あまりの猛暑に動きたくなくなった人も多いのではないか。東京都心では猛暑日の日数が歴代最多となった2022年夏、暑さでバテる暇もないほど商売繁盛となった人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、秋の訪れで猛暑バブルが去るのを惜しむ人たちについてレポートする。

 * * *
「毎年こんなに暑かったっけ?」と誰もが思った2022年の夏。それもそのはず、35度超えの猛暑日は歴代最多で日本史上「最も暑い夏」だったと言えるかもしれない。9月に入り、秋の気配を感じるような気温に落ち着きつつあるが、この猛暑が、コロナ禍以降の最も大きい「稼ぎ時だった」として、夏の終わりを惜しむ声もあるようだ。

「まさに数年ぶりのバブル、朝から晩まで、客が途切れることはなかったね。まだ暑いままでいて欲しいよね、ほんとに」

 少し残念そうに、しかし満面の笑みでこう答えてくれたのは、都内のタクシー運転手・柿本譲さん(仮名・50代)。実は柿本さん、元々はイベント運営会社に所属していたのだが、コロナ禍の影響で仕事がなくなり転職をしたクチだという。タクシーの先輩運転手達が「久々のバブル」と小躍りしていたのだと振り返る。

「転職したのはいいけど、ほとんど客がいなくてね。最初の数ヶ月は給与補償がされていたからよかったけど、その後は地獄。まあ、仕事があるだけいいなと思ってやっていたけど」(柿本さん)

 テレビや新聞で「コロナ第X波」などと報じられる度に客足が減り、少し増えたかと思えばまた減り……そんな状態が繰り返されてきたが、今年の夏は経験したことがないほどの客足だったと話す。

「朝から暑いしさ、少し歩いたら汗だくになるもんだから、若い女性なんかが1メーター2メーターとか短い距離をよく利用してくれました。中には、制服姿の若い女子高生さんもいて、汗でメイクが崩れるから、なんて言っていたね(笑)。もちろん男性客も、暑くてやってられないとタクシーに乗り込んでくる。外回りの営業さんなんかが、涼みに来るわけよ。都内を走っていれば、30分客が途切れることもなかったくらい」(柿本さん)

 あまりの暑さに、手頃な逃げ場として「タクシー」を利用する客がひっきりなしだった、ということだろうが、唯一の悩みは「寒すぎて風邪を引きそうだった」こと。

「30度を超えると、エアコンをフル稼働していないとお客さんの乗る後部座席まで冷えないんです。汗だくで乗ってくるお客さんが多いから、常に冷やしてるでしょ? 運転手は寒くて寒くて……。あまりにエアコンかけっぱなしで車の調子が悪くなったという話も聞いたね」(柿本さん)

 猛暑によるつかの間の「バブル」は、飲食業界にも及んでいたようだ。

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
東条英機・陸軍大将(時事通信フォト)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最低の軍人」ランキング ワースト1位はインパール作戦を強行した牟田口廉也・陸軍中将 東条英機・陸軍大将が2位に
週刊ポスト
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト