芸能

高田文夫氏 40歳になった中村勘九郎とのひと時、ユーモラスな受け答えに嬉しくなる

4年ぶりに中村座を復活させた中村勘九郎(イラスト/佐野文二郎)

4年ぶりに中村座を復活させた中村勘九郎(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、4年ぶりに中村座を復活させた中村勘九郎についてつづる。

 * * *
『いだてん』の頃以来だから相当久しぶりに中村勘九郎に会った。クルンクルンの髪の毛にびっくりして笑ったら「これ天パーなんですよ。キャップかぶってて舞台へ行きゃすぐカツラかぶるから、みんな分からないんですよへへへ」と笑った。父十八代目勘三郎の早逝から10年。中村屋を背負い、ファミリーを引っ張り、歌舞伎界全体の重責も負う。辛く大変な時を過ごしたと思うが40歳ともなり肩の力も少し抜けてきたか、やわらかくユーモラスな受け答えに嬉しくなった。

「それよりホラッ2000年に浅草に父が芝居小屋“平成中村座”作ったでしょ。中村座が10月11月と4年ぶりに復活するんですよ」

「嬉しいネ。江戸っ子はそう来なくっちゃ。オレも一度だけだけど、お父さんと中村座の舞台出て喋ったことあるんだよ」

「覚えてますよ。談志師匠が亡くなったのですぐに父と高田さんで追悼落語会やったんですよネ。談春さん志らくさんも出て、いい会だった」

「オレも出たかったって談志が一番くやしがっていた」

「今回は高田さんも可愛いがっているクドカン、宮藤官九郎の脚本・演出ですから。面白いのなんのって、あの人ちょっと頭おかしいですよネ」

「ちょっとなんて失礼だよ。ほとんどおかしいんだから」

 弟の七之助も記者会見で「最近の宮藤さんの脚本には、神がかり的な面白さがあると感じている」とぞっこん。そう言えば、先日宮藤に会ったら「落語の“唐茄子屋”と“不思議の国のアリス”を合体させて歌舞伎を書きました」とよく分からないことをうわ言のように言っていた。落語の『唐茄子屋政談』といえば若き日の私の十八番。立川藤志楼としてどれだけ江戸中で評判を呼んだものか……。大好きな「櫻坂」のライブへも行かずこれから稽古、稽古ですと宣言。本当か。

「イヨッ中村屋!」笑顔を見てるとお父さんにも会いたくなった。

 歌舞伎がらみの話題をもうひとつ。飛ぶ鳥を落としちゃ揚げていると噂の講談の神田伯山が熱望した師匠神田松鯉との歌舞伎座での親子会がいよいよ9月28日に昼夜開催。この日は松鯉80歳(傘寿)の誕生日。ゲストには尾上松緑。松鯉が演じる『荒川十太夫』を歌舞伎にして十月に松緑が歌舞伎座公演として上演する。「荒川」は赤穂浪士、堀部安兵衛の切腹で介錯をつとめた下級武士。伯山の大きな夢がひとつ叶った。次は?

※週刊ポスト2022年9月30日号

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン