ライフ

トップが絶対に使ってはいけないフレーズ 岸田首相の口癖に学ぶ

時事通信フォト

支持率は下落傾向(時事通信フォト)

 リーダーの言葉は重要だ。コラムニストの石原壮一郎氏が「国葬」を機会に考えた。

 * * *
 もうすぐ、国をあげての大きなお葬式が行なわれます。故人を悼む気持ちは十分にあるつもりですが、なぜそういう形式のお葬式にしたのかは、よくわかりません。それはきっと、そういう形でやることを決めた責任者が理由や根拠を説明しようとしないから。

 そう、安倍元首相の国葬と、国のトップである岸田首相の話です。政府は「国葬」ではなく「国葬儀」と呼びたいようですが、姑息な理由の言い換えにつき合う義理はないので「国葬」でいいですよね。ともあれ賛否入り混じる騒がしい状況の中、いよいよ当日を迎えようとしています。

 勢いで決めたのか長老に恫喝されたからかはわかりませんが、国葬にすることで支持率が上がると思っていたであろう岸田首相としては、完全にアテが外れました。国葬ではなく自民党葬にするのと、反対の声のほうが多い中で国葬を執り行うのと、さてどっちが故人に対して失礼だったのでしょうか。

 就任当時から「体裁のいいことを言うだけで実際は何もしない」と言われ続けている岸田首相は、国葬の件でも本領を発揮しました。国葬について議論される国会の閉会中審査で答弁することを決めた岸田首相は、事前に「丁寧な説明を尽くしたい」と丁寧に言い続けました。

 ところが実際には、これまでの主張を丁寧に繰り返すばかり。なぜ安倍元首相を特別扱いしたのか、根拠はあるのかなどについての「丁寧な説明」はありませんでした。ま、誠実に「丁寧な説明」をしようとしたら、表には出せない事情や黒い本音が出てきそうです。きっと苦渋の決断としての丁寧な繰り返しだったのでしょう。

 国葬をめぐる対応は、岸田首相の「見習ってはいけない部分」の一例。話はコロッと変わって、たとえば中小企業の社長が「社員の親睦を深めたい。久しぶりに社内運動会をやろう」と言い出したとします。ところが、多くの社員から反対の声が上がりました。総務がアンケートを取ってみたところ、なんと大半の社員が反対という結果に。

 社長としてはそんな“世論”を無視するわけには行きません。「私から社員に丁寧な説明を尽くすとしよう」と言い出しました。社員は「説明されてもなあ」と半信半疑で聞いていたら、社長の口から出てくるのは精神論や言い訳ばかり。即座に「この社長、ダメだ」と、社員から見切りを付けられてしまうでしょう。

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン