イライラ解消にはカルシウムではなく、ビタミンCを
「多く含まれる鉄分の過剰摂取やアレルギー反応によって、肝機能が低下した例の報告が相次いでいます。“のめばのむほどいい”と誤解している人は多いですが、サプリメントやドリンクとして服用する場合、定められた目安量を必ず守ってください」
秋津医院院長の秋津壽男さんは、そもそも二日酔いに効く健康食品は存在しないと指摘する。
「二日酔い対策として事前に牛乳を飲んで胃に膜を張る人がいます。それにはまったく意味がありません。胃に食べ物が入れば膜はすぐに剥がれ、効果はゼロに。飲酒量を控え、水を飲んで血中アルコール度数を薄める以外に方法はないのです」
イライラ解消にはビタミンC
ビタミンから鉄分まで、不足している成分はサプリメントで手軽に摂れる時代になったが、それらの効果の是非も最新研究によって明らかになりつつある。
「その1つがカルシウム。確かに骨の生成をはじめとして体にとって必須の栄養素ですが、よく喧伝されている“イライラはカルシウム不足が原因”は間違いです。本当に効果があるのは、ストレスに抵抗するための副腎皮質ホルモンの合成を促す働きを持つビタミンCの摂取です」(望月さん)
秋津さんが疑問視するのはひざや目にいいとされる成分だ。通信販売の健康食品の代表格と言っていい。
「“ひざ痛を緩和する”という名目でサプリメントとして販売されているグルコサミンやコンドロイチンは、ひざ関節に直接注射すれば効果がありますが、経口摂取に意味はない。胃腸で消化されるためひざまで届くことはまずありえないのです。ブルーベリーが含有するアントシアニンの視力回復効果もさかんに宣伝されているものの、エビデンスなし。唯一、夜盲症の人には効き目がありますが、近視や疲れ目は解消されません」(秋津さん)
「薄毛対策に海藻」「ざくろで更年期障害が緩和される」といった言説にも専門家の目は厳しい。
「海藻が髪の毛を増やす、白髪対策になるというエビデンスはない。むしろ亜鉛やマグネシウムといった代謝にかかわる成分を摂って頭皮の細胞を健康に保つ方がまだ毛量が増える可能性があります。ざくろは、確かに女性ホルモンと同様の効果があるとされる植物性エストロゲンを含有しますが、その量は効果が期待できないほどごくわずかです」(望月さん)
他方、長らく「効果なし」とされていたコラーゲンの経口摂取に関しては、有効だとする報告が増えている。
「そのまま関節に届くわけではありませんが、コラーゲンはたんぱく質なので、筋力がついて関節の状態の改善につながる可能性があります。近年の研究では、膝関節に有効で、炎症や筋肉分解を抑制するとも報告されています」
