ライフ

山田邦子、乳がんを経験して実感したこと「がん治療は長い闘い。先生との相性が大事」

がんは明るく“がん友さん”と笑い飛ばす

がんは明るく“がん友さん”と笑い飛ばす山田邦子

 早期発見すれば90%以上が治るといわれる乳がんだが、罹患したことでショックを受ける人は少なくない──。山田邦子(62才)に乳がんが見つかったのは、2007年3月。健康番組『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学スペシャル』(テレビ朝日系)に出演したのがきっかけだった。

「番組内で、模型を使って乳がんのセルフチェック法を紹介しました。私も実際にチェックしたのですが、そのときに右側のおっぱいの上の方に梅干しの種のようなゴリゴリとしたものがあるのを感じたんです。“これはおかしいぞ”と思い、番組に出演していた女医さんに連絡し、受診したところ、1cm程度の悪性腫瘍があるのがわかりました」(山田・以下同)

 告知を受けたときはショックだったが、医師の意外な言葉に救われたという。

「先生に『あなた、番組に出演して発見したのだからラッキーよ、しかも初期で小さいし、本当によかったわよ』と言われたんです。そして何回も『よかった、よかった』と言われたので、『がんなのによかったのか』と不思議な気持ちになって、なぜか前向きになれたんです」

 さらに1か月半かけて精密検査を行うと、右側の別の場所と、左側の胸にも腫瘍が見つかった。

「先生が『大丈夫』だというから、そこからはもう先生の言われた通りに検査、手術、治療という流れでした。このときに実感したのは、がん治療は先生との相性が大事ということです。がんは手術して終わりではなく、5年、10年と長い闘いになります。だからこそ、先生との相性が大事なんです。私はがんになってから、いろんなところに講演会に行くようになり、相談を受けることもあります。そこでは、『もし先生との相性がいまひとつと思ったら、地域のがん総合相談支援センターに相談すればアドバイスをくれますよ』と必ず伝えています」

 そう明るく話す彼女だが、治療中は心が折れそうになったこともあったという。

「2007年4月、5月と2度手術を受け、傷がきれいになった8月からは、毎日放射線治療に通いました。始めた頃はよかったのですがラスト5日間は夏の暑さもあり、かなり疲れ、『あと3日、あと2日』と自分を奮い立たせました。再発の恐れもありましたし、精神的なバランスを崩して、精神科医の先生にカウンセリングを受けたこともありました。

 そんな中、毎年10月に行われているピンクリボン活動に参加したんです。そこで出会った女性たちは『本当にがんを経験したの?』と思うくらい華やかで明るかった。彼女たちも同じ経験をしているから心強くて、私もパワーをもらって元気に治療を受けることができました」

 がん発見から15年が経ったいまも、再発はない。

「いまも1年に1回の定期検診は欠かせませんし、自分がかかったことで、いろんな先生に話を聞いたりして、最新医療についても勉強しています。ただ、これは持論ですが、明るく笑っていると免疫力が上がって、がんも治りやすい気がするんですね。もちろん気をつけていても、なるときはなりますが、それでも笑って過ごすことが大事かな。だっていまは誰もががんになる時代。自分だけじゃない、仲間はたくさんいると思うと、気持ちも前向きになります」

芸能人やアスリートらとがん体験談や検診の重要性を広める合唱団の団長を務めている

芸能人やアスリートらとがん体験談や検診の重要性を広める合唱団の団長を務めている

●がん闘病の軌跡

2007年3月 健康番組出演中に右側のしこりを発見。番組で共演した女性医師のいる神奈川県の横浜医療センターにて受診。乳がんの可能性が高いと、東京都の聖路加国際病院で詳しい検査を受け、左右の乳房に合計3つのがんが見つかり、ステージⅠと診断される。

2007年4月 聖路加国際病院で摘出手術を受けるも、その2週間後、最初に見つけた右側のがんに思った以上の広がりがあったため、再手術。

2007年6月 乳がんであることを公表。8月から放射線治療を開始。以後、5年間のホルモン療法も行う。

2022年9月現在 再発はなし。年1回の定期検診を受けつつ、自らの経験を生かし、乳がん啓蒙活動を行う。

【プロフィール】
山田邦子/1960年東京都生まれ。1980年芸能活動開始。厚生労働省のがん検診率向上委員を務めるなどがん啓発活動に力を入れる。今年10月12日歌謡ミニアルバム『ザ・山田邦子カーニバル』を発売。

取材・文/廉屋友美乃 イラスト/オモチャ

※女性セブン2022年10月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン