大阪市による入れ墨調査への回答を拒否して懲戒処分を受けた職員が処分や配置転換の取り消しなどを求めた訴訟は大阪市が敗訴した(時事通信フォト)

大阪市による入れ墨調査への回答を拒否して懲戒処分を受けた職員が処分や配置転換の取り消しなどを求めた訴訟は大阪市が敗訴した(時事通信フォト)

 タトゥーは文化、入れ墨は権利という主張は昔から存在するが、それらのイメージの悪さは、結局タトゥーや入れ墨を入れている人物自身が作り上げたものに他ならないことは、実は当事者が一番よくわかっているはず。理由は様々あるとしても、数少ない例外を除けば、多くが威圧感を身にまとうため、迫力ある自分を演出するため、いわばファッションのために入れ墨を入れているというのが本音だろう。アート、芸術という側面があることは否定しないが、一般人はやはり萎縮するし、本当に文化だと思うのなら、イメージを悪くしている人たちを真っ先に糾弾すべきなのだが……残念ながら、その傾向はほとんど見られない。

「俺はふくらはぎと横腹、腕と背中にも入っていますが…あまりにみっともなくて。このせいで地元の祭りからも締め出されてしまい、消そうと思ってクリニックへ行ったら、レーザー治療で100万円以上かかると言われました」

「当時の自分を殴りたい」

 福岡県在住の土木作業員・豊島司さん(30代)も、およそ10年前、オラオラ系ブームの時に入れ墨を入れた。しかし、入れ墨を入れた彫り師は地元の先輩で、技術を持たない、いわゆるモグリの「彫り師」だった。

「ブームだったし、先輩が俺も彫り師になる、なんて言いだして。僕ら後輩に”ただで彫ってやる”といわれたんですが、案の定、失敗されちゃって跡がいつまでも腫れるし、絵柄も汚いし、恥ずかしくて裸になれない体になりました。入れ墨のせいで、子供の頃から出ていた祭りからも締め出され、消そうかと思い病院に行ったところ、後悔するなら入れるなとかいろいろ言われてむかついちゃいましたよ。もう元に戻れないというか、マジで絶望してます。当時の自分を殴りたい」(豊島さん)

 現在の40歳前後、アラフォーが10代後半だった約20年前にもタトゥーブームがあったと記憶している。当時の流行は、ファッション性の強いタトゥーであり、ここで紹介した3人が入れていた日本風の「和彫り」ではなかったためか、ある程度社会に受け入れられてきたような感覚はある。しかし、やくざ映画でしか見ないような迫力満点の「和彫り」を入れてしまった3人は、社会参加もままならないような状況に追い込まれ、後悔している。

 何度も言うが、タトゥーや入れ墨自体が悪いわけではない。しかし、現実としてタトゥーや入れ墨のイメージは悪く、暴力団や反社会勢力と親和性が高いという事実は変わらない。ブームの時に安易に開業した不衛生なタトゥースタジオや彫り師の施術により、感染症に罹患した人も少なくない。社会に出て、家族をもって初めて、自分自身の過去が回復できない現実となっていることに気がつくわけだが、何等かの形で苦労をする、代償を支払うのは自分自身だと言うことを、今一度はっきり理解しておくべきだろう。

関連記事

トピックス

日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
女性セブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト