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東急電鉄が取り組む鉄道バリアフリー新時代 歩行補助ロボットを装着して歩いてみた

歩行補助ロボット「curara」を装着して、こどもの国の園内を散策する様子(撮影:小川裕夫)

歩行補助ロボット「curara」を装着して、こどもの国の園内を散策する様子(撮影:小川裕夫)

 高齢化が進み免許返納が推奨されるなか、公共交通機関の利便性、とくにいっそうのバリアフリー化が待たれている。エスカレーターやエレベーターの設置だけですむ問題ではなく、駅につきものの階段や段差、スロープなどは意外に歩きづらいものだ。ライターの小川裕夫氏が、鉄道業界で初めて歩行補助ロボットを活用した実証実験を始めた東急電鉄の取り組みについてレポートする。

 * * *
 昨今、鉄道におけるバリアフリーの進展は目覚ましい。そのきっかけは、2006年にバリアフリー法が施行されたことに起因している。鉄道会社は公共性が強いので、駅舎やホーム、車両などでバリアフリー化が求められた。

 バリアフリーと一口に言っても、階段の段差をなくしてスロープにする、エレベーターやエススカレーターなどを設置する、車イスの利用者が乗降しやすいように板を渡す、車内にフリースーペースを確保するといった、いわゆる身体障害者への配慮だけではない。

 トイレの位置を示す「ピンポーン」という誘導音や発車チャイム・接近メロディなどを流すといった視覚障害者、点字ブロックの設置といった聴覚障害者への取り組みも拡大している。

 また、バリアは必ずしも障害者だけが感じるものとは限らない。ベビーカー利用者も段差を気にするし、高齢者やケガ人などにも使いやすい配慮がなされている。

 バリアフリー化が鉄道の利便性を向上させていることは言うまでもないが、すべての施設を一気にバリアフリー化することはできない。少しずつ改良していくことになるが、利用者はどこのバリアが解消されていて、どこのバリアが残っているのかを気づきにくい。

ハードからソフト面でのバリア解消へ

「東急では、アプリから各駅ホームにおけるバリアフリー状況を確認できるようになっています。アプリを使うと、ホームと車両の隙間が3センチメートル以内、段差が7センチメートル以内になっている箇所を一目で確認できる仕組みです。また、バリアフリー化はハード面だけではありません。東急は職員にサービス介助士の資格取得を推奨し、入社したばかりの職員を除けば取得率は100パーセントです」と話すのは、東急電鉄社長室広報グループの担当者だ。

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