鎌倉幕府の特色は「坂東武者」の連合体という部分にあった。東はより野蛮で無骨な土地とされていた。山口組にも土地柄がある。関西ヤクザから離合集散を繰り返し、全国規模の大組織に成長したのだ。指定暴力団をみると、東京より東に独立団体は存在しない。暴力団数でいえば圧倒的に西高東低で、「西のヤクザ」という呼び方には『鎌倉殿の13人』における「坂東武者」同様、粗野で暴力的なイメージがある。
「山口組が東京に進出した頃、東京生まれ・育ちのヤクザが、喧嘩になると関西弁で啖呵を切るなどという笑い話もあった。大阪弁の押し出しが効くのは、抗争の多い土地だったからだ」(関東広域組織総長)
(後編に続く)
【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。フリーライター。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。
※週刊ポスト2022年12月16日号