2022年2月に感染を公表していた
コロナが猛威を振るって3年が経ち、後遺症についてさまざまな報告がある。米ハーバード大学などの研究チームが2022年6月に発表した研究結果は、衝撃をもって医療関係者に受け止められた。その結果によれば、「一度でもコロナに感染すると、症状が治っても、体内にウイルスが生涯残り続ける可能性がある」というのだ。前出の中村さんが続ける。
「体内に潜伏するウイルスは『リザーバ』と呼ばれます。ウイルス性の病気には免疫機能の低下によってリザーバが再活性化して再発症するタイプのものがあります。たとえばヘルペスや帯状疱疹などがそれで、症状が治まっても体内にウイルスがすみついた『潜伏感染』という状態になる。普段は免疫で抑えられていますが、加齢や疲れ、ほかの病気などによって免疫が低下すると再び活動し再発する。コロナもこのタイプである可能性が示されたのです」
不治とさえみられるコロナウイルスは変異を繰り返している。その結果、弱毒化の傾向にあるとされているが、決して油断はできない。
「軽症で済んでも、後遺症が残るケースが増えています。オランダの研究によると、コロナ感染者の8人に1人は何らかの後遺症が出るというデータもあります。以前は味覚や嗅覚障害が多かったのですが、最近では倦怠感や思考力低下が目立っている。日常生活に影響が出るほどの、思考力低下に襲われる人もいます」(医療ジャーナリスト)
重症化した場合の症状にも、変化がみられる。
「当初は肺炎が重症化して亡くなるケースがほとんどでしたが、2022年の夏から始まった第7波以降は、肺炎で亡くなる感染者が減少しています。ワクチン接種が進んだことなどで肺炎が重症化する感染者が減ったと考えられています。
一方で、感染をきっかけに持病が悪化して亡くなるケースが増加。米ミシガン州の大規模観察では、コロナで入院した患者の再入院の主な理由のうち、約9%が敗血症という結果もあり、ここ日本でも、コロナ感染後に敗血症で亡くなる人が増えています」(前出・医療ジャーナリスト)
渡辺さんの死因とコロナの因果関係は不明だが、未知なる部分の多いコロナへの対策は怠ってはいけない。
※女性セブン2023年1月1日号