芸能

志垣太郎さんは“浮世離れした二枚目”がハマり役 菅田将暉の義経役につながる50年前の名演

牛若丸を演じる志垣太郎さん(1972年)

牛若丸を演じる志垣太郎さん(1972年)

 圧倒的な二枚目のルックスを武器に活躍した志垣太郎さん(享年70)。1969年に芸術座の舞台で主役デビューしてから、多くの作品に出演してきた。コラムニストのペリー荻野さんが志垣さんの生前の活躍を振り返る。

 * * *
 今年3月、志垣太郎さんが亡くなっていたことがわかった。甘いマスクの二枚目として70年代から多くの作品で活躍してきた志垣さんの訃報を聞いて、今年放送されている二作品を思い出した。

 一作は朝ドラ『舞いあがれ!』。ヒロイン舞がパイロットを目指して奮闘するというこの物語の概略を知った時、即座に頭に浮かんだのは、1976年の朝ドラ『雲のじゅうたん』である。

 大正時代、「鳥のように空を飛びたい」と頑固な父の大反対を押し切って、飛行学校のただ一人の女子学生となった真琴(浅茅陽子)が、厳しい訓練を経て、ついに操縦士の試験に合格すると言う物語。戦前、複数実在したという女性飛行士たちをモデルにしたこのドラマは平均視聴率40パーセント超えという大ヒットを記録した。

 その中で、志垣さんは真琴が憧れる海軍少尉・茅野隆二役。茅野はしょっちゅう転ぶ真琴を心配して、手を差し伸べる心優しい青年だ。転んだときに助けてくれた相手と目が合うのは、ドキドキシーンの定番中の定番。きりりとした太い眉毛と笑顔、白い制服姿がまぶしい隆二は、これぞ朝ドラの相手役という印象だった。

 当時の関係者に聞くと、志垣さんを映すときは足元からパーンして颯爽としたスタイルを強調するのがお約束で、いかに隆二をカッコよくインパクトのある見せ方ができるか、アイディアを出し合っていたという。

 もう一作、重要なのが1972年の大河ドラマ『新・平家物語』。平安時代の末期、平清盛(仲代達矢)を中心にした平家一門の栄華とその後の衰退を描いた大河ドラマ第10作で、志垣さんは、源義経を演じた。

 義経といえば、今年の『鎌倉殿の13人』で菅田将暉が演じて話題になったばかり。この義経は黄瀬川での頼朝(大泉洋)との初対面では「兄上~」と走り寄り、大泣き。政子に「甘えていいですよ」と言われると、さっそく膝枕してもらう。経験もゼロなのに戦には自信満々で、年長武将に対しても態度がデカい。文武両道で優秀な兄弟・義円を陥れて、結果的に戦死させたり。初めて出会った娘・里(三浦透子)と朝寝をして戦に行けず…喜怒哀楽+女性好き+腹黒というこれまで見たこともなかった義経だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大阪・関西万博内の『景福宮』での重大な疑惑が発覚した(時事通信)
《万博店舗スタッフが告発》人気韓国料理店で“すっぱい匂いのチャプチェ”提供か…料理長が書いた「始末書」が存在、運営会社は「食品衛生上の問題はなかった」「異常な臭いはなかった」と反論
NEWSポストセブン
63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志さん
《63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志》不良役演じた『ビー・バップ』『スクール☆ウォーズ』で激変した人生「自分の限界を超える快感を得ちまった」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
サッカー界のレジェンド・釜本邦茂さんが「免許返納」密着取材で語っていた「家族に喜んでもらえることの嬉しさ」「周りの助けの大きさ」
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがニューシングル『Letter』をリリース(写真・左/AFLO、写真・右/Xより)
羽生結弦の元妻のバイオリニスト・末延麻裕子さん、“因縁の8月”にニューシングル発売 羽生にとっては“消せない影”となるのか 
女性セブン
中学生記者・川中だいじさん(14)が明かした”特ダネ”の舞台裏とは──
「期末テストそっちのけ」中学生記者・川中だいじさん(14)が抜いた特ダネスクープの“思わぬ端緒”「斎藤知事ボランティアに“選挙慣れ”した女性が…」《突撃著書サイン時間稼ぎ作戦で玉木氏を直撃取材》
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
メキシコ五輪得点王・釜本邦茂さんが語っていた“点取り虫”になる原点 “勝負に勝たなければならない”の信念は「三国志」に学んでいたと語る
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴行動画に批判殺到の花井組》社長らが書類送検で会社の今後は…元従業員は「解体に向けて準備中」、会長は「解体とは決まっていない。結果が出てくれば、いずれわかる」と回答
NEWSポストセブン
雅子さまのご静養に同行する愛子さま(2025年8月、静岡県下田市。撮影/JMPA) 
愛子さま、雅子さまのご静養にすべて同行する“熱情” そばに寄り添う“幼なじみ”は大手造船会社のご子息、両陛下からも全幅の信頼 
女性セブン
猫愛に溢れるマルタでは、動物保護団体や市民による抗議活動が続いているという(左・時事通信フォト)
《深夜に猫地面にたたきつける動画》マルタで“猫殺し”容疑で逮捕の慶應卒エリート・オカムラサトシ容疑者の凶行と、マルタ国民の怒号「恥を知れ」「国外に追放せよ」
NEWSポストセブン
大神いずみアナ(右)と馬場典子アナが“長嶋茂雄さんの思い出”を語り合う
大神いずみアナ&馬場典子アナが語る“長嶋茂雄さんの思い出”「こちらが答えて欲しそうなことを察して話してくれる」超一流の受け答え
週刊ポスト
夜逃げした「郷土料理 たち川」に、食品偽装があったという(左はinstagramより、右は従業員提供)
「飛騨牛はホルスタイン、天然鮎は養殖モノ…」岐阜・池田温泉、町が委託したレストランで“食品偽装疑惑”「仕入れ先が減り、オーナー自らスーパーで割引の商品を…」【7月末に夜逃げしていた】
NEWSポストセブン
デコラファッションで小学校に登校していたいちかさん、中学生となり衝撃の変貌を遂げていた…!
《デコラ小学生が衝撃の変貌》グリーン&ゴールド髪が“黒髪少女”に大転身「ほぼスッピンのナチュラルメイクで中学に登校する」意外な理由とは
NEWSポストセブン