ライフ

年賀はがきができるまで 制作期間は1年以上、8人の精鋭が手掛ける「デザインの舞台裏」

主任切手デザイナーの丸山智さん

精鋭たちの手で年賀はがきは作られていく(写真は主任切手デザイナーの丸山智さん)

 日本で最も多く発行される印刷物──それは新年、最初に手にする手紙でもある年賀はがきだ。2023年用は当初約16.4億枚が発行された。そのデザインを手掛けるのがたった8人の精鋭たちであることは意外と知られていない。1年以上の歳月をかけて作り上げられる年賀はがき制作の舞台裏に迫った。

 日本で発行される年賀はがきは、日本郵便社員の切手デザイナー8人だけでデザインされている。年間約40種類発行する切手、各種はがきのデザインは分担しているが、干支にちなみ、毎年絵柄が変わる年賀はがきは8人がコンペ方式で全員参加する。主任切手デザイナーの丸山智さんが説明する。

「社内での稟議などを経て、デザイナー陣に依頼がくるのが発売1年前の11月下旬~12月上旬。各自アイデアを練り、ラフ案を制作します。私の場合は年末年始の正月気分で、1年先のデザインを考えます」

 デザインの手法も道具も8人8様。すべてパソコンで完結する人もいれば、色鉛筆でラフを手書きする人もいる。2023年用年賀はがき「富士山と瑞雲」を手掛けた丸山さんに、年賀はがきが完成するまでの工程を聞いた。

 最初に行なうのは、「料額」(切手部分)のラフを写真やアイデアから起こす作業だ。丸山さんは自ら撮影した写真からラフを起こす。今回は富士山と江ノ島がセットで見られる稲村ヶ崎から撮影した写真を採用した。

「写真通りの富士山は意外と平らなので、広重や北斎のように少しデフォルメして表現しています。海を渡る因幡の白兎からイメージした青海波(せいがいは)、おめでたい文様の瑞雲(ずいうん)を組み合わせました」(丸山さん)

 次にパソコンで写真の上に図形を貼り重ねていく。丸山さんはデザイン用ソフト「Illustrator」を使い、富士山の形の上に図形を重ね、デザインした瑞雲も置いていく。「折り紙を切り抜いてパズルのように貼っていくイメージです」と丸山さん。

 料額部分を終えたら、年賀という文字を入れる「消印(しょういん)」、お年玉の「くじ部分」をデザインし、「料額」、「消印」、「くじ部分」の3点セットでコンペ案を出す。丸山さんは計4つの案を提出した。

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン