表面のデザインを担う

「料額」(切手部分)、年賀の文字を入れる「消印(しょういん)」、お年玉の「くじ部分」をデザインする丸山さん(写真)は、「年賀状を気持ちよく書いていただけるように」と考えデザインを行う

「デザインは“空気”のようでありたい」

 年賀はがきは一年で最初に手に取る手紙。デザインをつくる上で、何を考えているのかを訊くと、丸山さんは「デザインであまり個性を出さないようにしています」と語る。

「以前、フリーアナウンサーの新井恵理那さんが年賀状を書く動画をYouTubeで見たときのこと。裏面にイラストを描いて、『完成しました』と喜んでいたのですが、当然ですが、表面のデザインの話はしないですよね。年賀はがきで一番大切なのは、利用者のみなさまが書いて思いを伝える裏面の部分です。だから、私たちが手掛けるデザインは言ってしまえば、郵便として配達されるシステムの一環です。気持ちよく書いていただけるように、年賀はがきのデザインは“空気”のようでありたいと考えています」(丸山さん)

 2024年は辰年。「龍と合わせるんだったら何でしょうね。干支は12年周期なので、ネタが枯渇してきます(笑)」と腕を組む丸山さん。我々が卯年の年賀はがきを手にして正月気分を味わっている頃、デザイナーたちは1年先の年賀はがきにアイデアを巡らせている。

撮影/本誌・五十嵐美弥 取材・文/上田千春

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