夢の中で人に追われる理由は?
「夢は見る人の心理状態と関連していることがわかっています。世界中の人を対象に、夢に関する調査がなされており、頻出する夢のテーマはほぼ世界共通です。
『空を飛ぶ夢』は見る頻度が高い夢で、宇宙から地球を眺めながら気持ちよく遊泳している夢などなら、日常生活が順調に進んでいるのでしょう。
一方、地面すれすれだったり、何かにぶつかりそうになる夢は現実の生活の中で焦りや不安を抱えていると考えられます」(松田さん・以下同)
願望が夢に出てくることもある。
「サッカーW杯のピッチに立ってアシストしたなどの夢を見たなら、それは無意識下の感情の表れでしょう。こうしたい、こうなりたいと強く思っていると夢に出てくることがあります」
これが実現すれば「正夢」ということになるが、残念ながら「思い込み」にすぎないことが多いと松田さんは言う。
「お告げのような夢でも、印象に残らないものや、結果的に現実と一致しないものはすぐ忘れてしまいます。ところが、たまたま覚えていたり、たまたま現実と一致したときだけ注目するから正夢だと大騒ぎになります。予知夢や予言なども同じメカニズムです」
夢で未来を知ることなど、科学的にはありえないということのようだ。
「悪夢=悪い兆し」ということではない
夢には楽しいものもあるが、「何かに追いかけられる」「殺される」「転落する」「間に合わない」などネガティブな夢が多いように思える。これにもちゃんと理由がある。
「トラブルを抱えていればネガティブな夢を見やすくなり、記憶に残るのも、必然的にネガティブな夢が多くなる。ストレスを抱え、気にしていることが多いから悪夢を見るのです」
しかし、実は“悪夢を見ること”には意味がある。
「悪夢は、現実でトラブルに直面したとき、どうやってそれを解決するかを脳がシミュレーションしているという説があります。記憶というものは、過去の経験を生かして事態を打開するために備わっているものだからです。
『悪夢=悪い兆し』ということではなく、むしろあらかじめ対処法を経験することで身を守ってくれるものといえます」
睡眠の質を高めるとされ、各地で品切れが続く人気の乳酸菌飲料『ヤクルト1000』だが、SNSなどでは「飲むと悪夢を見る」という反応も少なくない。これはどういう理屈なのか。
