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「夢」とは何か 大脳生理学では「記憶の再構成」、未来を知ることはありえない

夢

「夢」とは一体何なのか?

 今年の初夢はどんなものだっただろうか──。初夢に見ると縁起がいいものとして「一富士、二鷹、三茄子」は有名だが、これには江戸時代の富士山信仰に基づくなど、諸説ある。

 古くは室町時代頃から「七福神が乗った宝船の絵を枕の下に入れるといい初夢が見られる」といわれ、いにしえの時代から人々は「夢」を見ることに期待していた。

 いま、私たちが見る夢には現実的なものもあるが、「恐竜に追いかけられる」や「空を飛ぶ」など荒唐無稽なものも少なくない。「推し」と恋愛していることもあれば、時には高いところから転落する夢もある。それは何かを暗示しているのだろうか──。

夢は自分だけのドキュメンタリー映画

 精神分析学者のフロイトは夢のことを、現実世界で持っている「願望充足」を睡眠中に行うという説を唱えた。

 しかし、その後の大脳生理学の研究では、夢は「記憶の再構成」だと判明した。東洋大学社会学部教授で、夢のメカニズムに詳しい松田英子さんが説明する。

「脳は生まれてからこれまでに見聞きした記憶を無限に蓄積しています。脳はそれらを『家族』『子供時代』『会社』『恋愛』など図書館のようにジャンルごとに分類して記憶します。それが行われるのが睡眠の間で、脳に蓄積された情報を各フォルダーに振り分けているのです。

 こうした記憶の振り分け作業の過程でレム睡眠中に再生された物語こそが『夢』。つまり、夢は自分が体験し、脳内に蓄積した記憶から生み出す、いわば自分だけのドキュメンタリー映画なのです」

 睡眠中、体は休んでいるが脳は活動している「レム睡眠」の状態と、脳の休息時間である「ノンレム睡眠」を周期的に繰り返している。脳の活動が活発なレム睡眠時にストーリー性のある夢を見やすく、記憶に残りやすい。

 となると、過去に自分が経験した出来事から、どんな夢を見てもおかしくないように思えるが、夢として出てきにくい時期もあるようだ。江戸川大学睡眠研究所長で人間心理学科教授の福田一彦さんが話す。

「“直前にあった出来事”と、“5日以上前の記憶”が夢に出てきやすい傾向にあります。一方で、3〜4日前の出来事は夢に出にくい。その理由は、短期記憶から長期記憶へと移行される前の情報だからと考えられています」

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