芸能

高田文夫氏が思い返す1966年ビートルズ来日「月明かりのように私の人生を照らしてくれた」

ビートルズ来日を高田文夫氏が振り返る(イラスト/佐野文二郎)

ビートルズ来日を高田文夫氏が振り返る(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、生体験したビートルズ来日、走るアベベ、古今亭志ん生についてつづる。

 * * *
 私はマスコミの人間として、放送人として、作家として誇れる事がみっつある。私のこの大きな目で、生であのビートルズを、そしてアベベ(東京五輪)を、その上、古今亭志ん生を見たと自信を持って言える事だ。何でも見たがるおっちょこちょいを絵に描いた様な人生だが、生体験をしているか、してないかで、このマスコミ人生、大変な差が出る。

 そこで1966年日本にやってきたビートルズ。その武道館公演を追ったドキュメントが『ミスタームーンライト』(1月27日から全国ロードショー)。ビートルズを呼んだ人、さわぐマスコミ、反対する右翼、チケットを作る人、テレビにする人、前座で歌う内田裕也、尾藤イサオ……いろんな人の想いが語られる(私にとって戦後一番大きな文化的ニュースだと思う)。

 衝撃、熱狂。高3の私は父に「武道館見たら受験勉強始めるから1枚だけ取って下さい」と哀願した。父は出版社を経営していたのでツテで1枚すぐ取ってくれた。父の力を見直した。ビートルズ、それは、ミスタームーンライト。月明かりのように私の人生を照らしてくれる、あの瞬間を体感して下さい。

 日本にいたもうひとりのビートルズと言われるのが(言われる訳がない)、超・天才「マイブーム」のみうらじゅん。みうらが東北を旅していたら田舎のおばちゃんが声をかけてきた。「ジョン・レノンさんですよネ?」。みうらは「ア……ハイ」と言った。これは本当。

 ラジオに来てもらって「今年ブームになるものは?」と問うと「3位マドロス、2位オヒョウ」。みうらは寿司屋へ入ると、「エンガワ」を頼むが待てよ。あんな小さなヒラメなのに何でこんなに出まわるのか。調べてみたらオヒョウという巨大な魚。うまいからいいやと食べている。そして「1位はコロナの間ずっと描いていた仏画などが100枚を超えた。コロナ画です」。この物凄い量の絵などを展示する「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」が4月15日から5月7日、所沢市民文化センターで開かれる。もうひとりのビートルズも圧巻です。

 守備範囲の広さをみせてビートルズから和ものの浪曲まで。講談で神田伯山、浪曲で玉川奈々福が古い芸能を新しく聞かせて若い人にも人気。「奈々福、独演。」が2月11日(祝)18時、12日(日)13時。場所をきいておどろいた。銀座・観世能楽堂(GINZA SIX地下3階)。能の舞台に浪曲が。もっとおどろいたのは12日のトークゲストがこの私だという事だ。もし、よろしかったら浪曲でも……。

※週刊ポスト2023年2月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン