確かにコロナは、突然降ってわいた未曽有の「災害」であり、完璧な対処は不可能だっただろう。しかし、だからこそ後遺症の症状が明るみに出つつあるいま、国を挙げた調査や補償を行うことが必要なのではないか。自らもサリドマイド薬害の被害者で東京理科大学薬学部准教授の佐藤嗣道さんが語る。
「『大規模な追跡調査は難しい』という声もありますが、自治体には住民のワクチン接種記録があり、この記録と自治体が保有する国保の保険診療の請求書を突き合わせれば、接種歴と病歴との関係を調査できる。住民基本台帳や死亡届のデータと接種記録を突き合わせれば、接種と死亡の関係も追えます。ワクチン後遺症については、接種後に体調不良を訴えている人と担当医から速やかにヒアリングを行い、現状把握を急ぐべきです。
サリドマイドなど過去の薬害では製薬会社による安全性軽視の販売姿勢があり、それを行政が漫然と見過ごしたという構図がありましたが、コロナワクチンについては国が国民に努力義務を課し、積極的に接種を推進しました。政府は自らの責任で進めた政策に伴って健康被害が起きている可能性を重視し、迅速に後遺症調査を進める責務があります」
後遺症の補償や調査に積極的でない一方で、国はワクチン接種を推進するために莫大な予算を費やしてきた。鳥集さんは、その恩恵を受けた医療従事者の倫理を問う。
「日給20万円近くにもなるワクチン接種のアルバイトで何百万円も儲けた医師がいます。しかし後遺症を訴える患者が救済制度を利用しようとしても、集団接種会場でどの医師が打ったかわからないとか、接種医が非協力的で申請にすら至らないケースがある。ワクチン接種は医療行為です。医師は私腹を肥やすだけでなく、接種した責任も、もっていただきたい」
海外では『ウォール・ストリート・ジャーナル』や『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』といった欧米のメジャーな新聞、医学雑誌でワクチンのリスクが論じられるようになり、英BBCでも「心疾患が増えたのはコロナワクチンが原因」という医師の声が流れた。他方、日本は世界で最も接種率が高く、接種回数が多い“ワクチン大国”だ。
国内でコロナ感染者が初めて確認されてから3年が経過したいま、世の中すべてがコロナだけを恐れ、ワクチンの危険性を指摘する声や症状に苦しむ叫びを「非科学的なデマだ」と断じるのはあまりにも一方的ではないだろうか。後遺症患者は「まずは症状があることを認めてほしい」と口々に話す。「反ワクチン」のレッテルでその声をかき消してはいけない。
※女性セブン2023年2月16日号