スポーツ

力道山との出会いの契機となった国際基督教大学の「受験失敗」【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#12】

2023年に行われた立春パーティーにて

2023年に行われた立春パーティーにて

“日本プロレスの父”力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で、39年間の太く短い生涯を終えた。しかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──。彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。第12話ではついに力道山との出会いのきっかけとなる「進路」選びの岐路に立たされる。【連載の第12回。1回から読む】 

  * * * 

12話「不合格」 

 女子の4年制大学の進学率が10%を超えたのは“女子大生ブーム”真っ只中の1984年で、それまでは長らく1桁台を推移していた。ちなみに30%を超えたのが2000年と思いのほか最近である。 

  進学率2%台だった昭和30年代はと言うと、女子は高校を卒業したら数か月間の家事手伝いという花嫁修業をへて、秋には見合いをして、そのまま結婚に至る事例が少なくなかった。結婚適齢期が1922歳という時代の話である。 

  早くから「外交官になりたい」という将来の目標を抱いた神奈川県立平沼高校3年の田中敬子は、この時代において稀有な存在だったことがわかる。「私は大学に行きたい」と父親の勝五郎に言うと「そうしろ。これからの時代は女も大学に行く時代だ」と後押ししてくれた。進学先を国際基督教大学に決めたのは、すでに述べたように、中3の夏「青少年赤十字世界大会」で出会った都立駒場高校の大宅映子に示唆されたからで、現に大宅映子はこの年、国際基督教大学に進学し『ミュージックジャーナル』等の音楽専門誌に寄稿するなど、18歳にしてライターとしての活動を始めていた。 

 「大宅映子さんとはその後は会うことはなかったんだけど、文通はしていたの。電話で話したこともあった。正式に国際基督教大学に行くことを決めてからは、受験のこととかいろいろ聞いていたの」(田中敬子) 

  国際基督教大学(ICUInternational Christian University)は、日米のキリスト教指導者による会議をへて1949年に創設、1953年に開学した大学である。高校2年生のとき「開港百年祭記念英語論文」で社会人や大学生を抑え最優秀賞を受賞し、クラスはもちろん、学年の成績もトップクラスだった田中敬子にとって、本来であれば新設大学はさほどの難関というわけでもなかったに違いなく、担任教師も「問題ない。お前なら国立を狙ってもいいのに」とまで言った。しかし、実際はまったくそうではなかった。試験内容が独特なのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

還暦を過ぎて息子が誕生した船越英一郎
《ベビーカーで3ショットのパパ姿》船越英一郎の再婚相手・23歳年下の松下萌子が1歳の子ども授かるも「指輪も見せず結婚に沈黙貫いた事情」
NEWSポストセブン
ここ数日、X(旧Twitter)で下着ディズニー」という言葉波紋を呼んでいる
《白シャツも脱いで胸元あらわに》グラビア活動女性の「下着ディズニー」投稿が物議…オリエンタルランドが回答「個別の事象についてお答えしておりません」「公序良俗に反するような服装の場合は入園をお断り」
NEWSポストセブン
志穂美悦子さん
《事実上の別居状態》長渕剛が40歳年下美女と接近も「離婚しない」妻・志穂美悦子の“揺るぎない覚悟と肉体”「パンパンな上腕二頭筋に鋼のような腹筋」「強靭な肉体に健全な精神」 
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《還暦で正社員として転職》ビッグダディがビル清掃バイトを8月末で退職、林下家5人目のコンビニ店員に転身「9月から次男と期間限定同居」のさすらい人生
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された佳子さま(2025年8月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《日帰り弾丸旅行を満喫》佳子さま、大阪・関西万博を初訪問 輪島塗の地球儀をご覧になった際には被災した職人に気遣われる場面も 
女性セブン
鷲谷は田中のメジャーでの活躍を目の当たりにして、自身もメジャー挑戦を決意した
【日米通算200勝に王手】巨人・田中将大より“一足先にメジャー挑戦”した駒大苫小牧の同級生が贈るエール「やっぱり将大はすごいです。孤高の存在です」
NEWSポストセブン
侵入したクマ
《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」
NEWSポストセブン
山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン