特待生の試験に合格していた

鍼灸師では院長として活躍(鍼灸院のホームページより)

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 彼らと仲良くなったのをきっかけに、ほかのクラスメートにも溶け込めて。いろんな人がいましたよ。高校出たての若い子もいれば、定年退職をした人、主婦の方、外国人の方……。みんなとの交流が楽しかった。学割がきくのも嬉しいし、「学生ってお得じゃん!」って思いました(笑)。

 そして、授業もすごく楽しかったんです。経絡・経穴(ツボ)や解剖学、生理学などどれも難しいけど「新しいことを知ることができる」というのが、こんなに面白いのかと思いました。なんで学生時代、もっと真面目に勉強に取り組んでおかなかったのか、と反省。高校のときなんて、後半は授業をさぼっていたくらいなんで。

 テストを受けるのも高校卒業以来ですから、もうドキドキしましたよ。入学時で42歳でしたけど、記憶力の衰えは感じませんでした。帰宅してお風呂に入って、湯船につかりながら教科書を読んでいて、寝落ちしたことは何度もありましたけどね(笑)。実は入学後、特待生の試験を受けて、合格して授業料を2年間半額にしてもらったんです。助かりましたねえ。

 2014年、3年間で無事に専門学校を卒業。国家試験にも合格し、専門学校の先生がやっている治療院に週1回通い、修業させていただきました。4年経った頃、今、一緒に働いているスタッフに「経堂にいい空き物件が出た」と教えてもらい、開業することになりました。

「ぶんのいち経堂」のスタッフ3人は、みな若い子たち。彼らはSNSを使ってキャンペーンのお知らせをしたりと、僕1人だったら考えつかないことをやってくれるので、助かっています。こんなふうに治療院をやれているのも、あの年に、あの学校、クラスに入れたからだと思うんですよね。本当にラッキーでした。

 実際に施術をするようになってみると、知識も技術もですが、患者さんとしっかりコミュニケーションをとって、信頼を得ることが何より大事だな、とつくづく感じています。人に鍼を刺すわけですから責任もありますし、同じ場所に同じ鍼を打っても、僕を信頼してくれる患者さんとそうではない患者さんとでは、効果が違うんですよ。施術中はあまりしゃべらず黙々とやっています。タレントとしてのテンションとはまったく違いますね。

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