入会テストへの参加資格は「ハンデ5以下」や「プロゴルファーを目指している」ことのほか、ジャンボ軍団らしく「ゴルファーらしくきちんと挨拶や礼儀が身についている者」という条件も。毎年3~10人が合格するが、ジャンボはジュニアの現状をこうぼやいた。
「1期生と比べて具体的な目標が見えている子が段々と少なくなっている。ここでは自分の殻を破って新しい自分を作ることが最大の目的。そうすることでゴルフを前向きに捉えることができる。それが今の子は『苦しい・悲しい』はやりたくないんだよね。越えられるところに目標を立てるわけだから簡単に諦めてもらっちゃ困る。3年計画ぐらいで来てくれたらいいんだけど、顔を出すのが半年に1回じゃ話にならんだろう」
ジャンボは「道しるべ」
アカデミー生は毎月2回以上の練習参加が義務付けられ、スイング、メンタル、コースマネージメント、ルール、マナー、ゴルフに対する考え方など、あらゆる角度からプロになるための要素を叩き込まれる。潜在能力を引き出すこともアカデミーの目的のひとつだが、「ゴルフで一番大切なのは基礎体力と基礎練習の反復」とジャンボは言う。
「うちは子供が来たら下半身強化から始める。タイヤを引っ張り、ダッシュを繰り返す。最近の子はスコアばかり求めるが、ただ球を打ってもうまくいかない。色んな方面から自分を攻めていかないとダメ。頑張るためにはしんどい目にもあうが、努力がどういうことなのかわかってもらいたい。スポーツは頑張る以外にないんだよ」
合否の結果は審査の上、後日伝えられるという。アカデミー生はジャンボのゴルフに対する姿勢を見て育ち、ジャンボとの適度な緊張感があることで練習に集中できる。原はそんなジャンボを「正しいところに導いてくれた道しるべ」と表現しているが、第二の原英莉花が現われるのもそう遠くなさそうだ。
取材・文/鵜飼克郎 撮影/小倉雄一郎
※週刊ポスト2023年3月3日号