国内

「普通の人」がSNSをきっかけに犯罪グループに加わってしまう闇の構図

「闇バイト」の勧誘。高額報酬をうたう(時事通信フォト)

「闇バイト」の勧誘。高額報酬をうたう(時事通信フォト)

 高額な報酬をうたい犯罪行為を行う「闇バイト」が、関わるべきではないものだという認識は、おそらく一般常識となっているだろう。ところが、2022年から起きている一連の広域強盗事件では、闇バイトで寄せ集められた実行役たちが次々と逮捕されている。ライターの森鷹久氏が、稼ぎたいだけの普通だったはずの人たちが、どうやって闇バイトを通じて犯罪を犯してしまうのかをレポートする。

 * * *
 全国各地で相次いで発生している「広域強盗」事件は、実行犯だけでなく、指示役とみられる4人の男も逮捕された。人命を奪うことも厭わない犯行内容の凶悪ぶりは当然ながら、実行役に「普通の人たち」が含まれていたことに改めて驚かされる。

 一部マスコミなどで「ルフィ事件」などとも呼ばれるこの連続広域強盗事件は、特殊詐欺のノウハウを流用していると言われている。たとえば、彼らが襲いかかった被害宅を選んだ元データは、複数のメディアでも既報の通り、オレオレ詐欺などの特殊詐欺で使用されていた名簿が利用されている可能性が高い。

 強盗の実行役を担った人たちについても、特殊詐欺の「出し子」や「受け子」を集めたときのやり方を受け継いでいる。SNS等を用いた誘い込み方は、以前から様々に報じられるなどして、その高いリスクについて周知されてきたはずだ。学校の授業でも、詐欺に騙されたり、犯行に荷担してはならないと指導しているとも聞く。だがそれでも、SNS上の「高額バイト」等の募集書き込みを真に受けて応募してしまっただけでなく、実際に強盗にまで加わってしまう「普通の人たち」がいる。なぜ、彼らは普通ではない世界に足を踏み入れてしまったのか。

 短期仕事の募集をきかっけに特殊詐欺に関わった結果、逮捕された体験者に言わせると、逮捕されるまで、関わってはいけない世界に触れてしまったと気づかないわけではない。SNSで応募してすぐ、まずいことになったと気づいているのだという。

SNS経由で犯罪の実行役になってしまうまで

「すぐに”騙された”と気がつくのは、脅されるからです。これでもう逃げられない、やるしかないと。確実にそうなります」

関連キーワード

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン