二審で殺害を認める 心を動かした裁判官の言葉

── 一審では殺害を否認したあかりさんが、二審では認める。きっかけは裁判官の言葉でした。何が人を動かすのかを教えられるこのシーンは、胸に響きました。

齊藤:この裁判は裁判員裁判だったということも大きかったと思います。これまで誰にも理解されないと思って孤独に生きて来た彼女が、初めて、一般市民の裁判員や裁判官に「分かってもらえた」と感じ、救われたのだと思います。

──あかりさんは収容された雑居房で、子を持つ女性をはじめ、様々な人と言葉を交わすようになり、改めて自分と母親の関係を考えるようになります。あかりさんの変化を感じましたか?

齊藤:同房の女性と話したり、弁護士の先生やお父さんと話したりするなかで、彼女なりの思考の変化があったと思います。他人を無理やり変えることは難しいんですが、同時に、人が気づきを得たり変わるきっかけをくれるのは、人との接点や出会いなのだと、この取材を通じて感じました。

 あかりさんのそういった状況と対照的だったのがお母さんです。子育てにつきっきりで、他の人との接点があまりなかったことで、価値観が固定化されやすかったのではないか。自分の生きるコミュニティや人間関係が一つに固定化されていくと、視野が狭まり、価値観が、時にエスカレートしていくことがあるのだろうと思います。

──変化もある一方で、母親から褒められたことがないあかりさんは、人から褒められると、何か裏があるではないかと疑ってしまったりするところがある。「母親」の影響力の強さも痛感します。

齊藤:あかりさんは言わば「条件付きの愛情」を受けて育ってきた人なので、他人から何かを受け取ると、見返りを求められてしまうのではないかと考える思考パターンが身についてしまっていたのだと思います。母親との関係は人生の初期の段階から長く続くもので、やはり影響は大きいと思います。

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン