ライフ

映画『BLUE GIANT』のヒットを解剖「ライブを見慣れている人」を驚かせるリアリティ

映画『BLUE GIANT』ヒットの背景は?(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

映画『BLUE GIANT』ヒットの背景は?(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

「絵から音が聞こえてくる」と大人気のジャズ漫画『BLUE GIANT』が映画化され、公開から大ヒットを記録中だ。オリジナル楽曲製作や演奏を世界的ピアニスト・上原ひろみが担当するなど、音楽通の大人も唸るクオリティが評判となっている。本作の音楽的魅力を徹底して掘り下げていこう。

ジャズファンを唸らせる細部の“リアリティ”

 劇場で号泣する人が続出、と話題の映画『BLUE GIANT』。原作はシリーズ累計1000万部超えの人気コミックスだ。

 主人公は、世界一のジャズプレーヤーを夢見る宮本大。大を中心に、ピアニストの沢辺雪祈、大と同級生のドラマー・玉田俊二の苦悩と成長が描かれる。

「画面からほとばしる熱気に、たちまち引き込まれました。観終わった後、思わず立ち上がって拍手したい気分にさせられました」

体が思わずスイングし、劇場が「本物のライブハウス」になる(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

体が思わずスイングし、劇場が「本物のライブハウス」になる(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

 雑誌『ジャズ批評』の元編集長で、音楽評論家の原田和典氏はこう絶賛する。原田氏によれば、細部にいたるまでの“リアリティ”に驚かされたという。

「楽器から、演奏するプレーヤーの手元の動きまで、どれも本格的です。ライブを見慣れている方ほど驚くと思います。映画を観た数万人のうち、気づくのは相当なオタクかも、というレベルのことまで、しっかり描き込まれています」(同氏)

 劇中の演奏は、ピアニストの上原ひろみら世界的プレーヤーが手掛けるほか、演奏者の動きを一部、モーションキャプチャーで撮影したのも話題となっている。若きトリオが日本のジャズシーンを変えようともがく物語にも目頭が熱くなる。

 音楽って良い、映画って良いと思える爽快な一作だ。

宮本大/サックス 世界一のジャズプレーヤーを目指す主人公(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

宮本大/サックス 世界一のジャズプレーヤーを目指す主人公(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

沢辺雪祈/ピアノ 大が東京で出会い、トリオを組む凄腕ピアニスト(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

沢辺雪祈/ピアノ 大が東京で出会い、トリオを組む凄腕ピアニスト(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

玉田俊二/ドラム 大の高校の同級生。経験ゼロでトリオに参加(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

玉田俊二/ドラム 大の高校の同級生。経験ゼロでトリオに参加(c)2023映画「BLUE GIANT」製作委員会

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン