スポーツ

《WBC感動をもう一度》48歳バツイチ・元スポーツ紙記者が弾丸ツアーのマイアミで見た「大谷!」「カモーン!」「勝利への確信」準決勝・メキシコ戦編

テンションがあがる瀬津真也

テンションがあがりきった瀬津真也氏

 日本中を感動の渦に巻き込んだ、野球日本代表・侍ジャパンのWBC世界一奪還。その栄光の瞬間は、米国・マイアミのローデンポ・パークスタジアムでも、多くの日本人観客が目撃した。その一人が、脱サラ・バツイチ48歳の元スポーツ紙芸能記者・瀬津真也。小学生の娘二人を両親に預けての弾丸追っかけ旅行で、現地でしか感じられない感情や様子を、緊急ルポでお届けする。【前後編の前編】

 * * *
 夢か現か幻か──。

 一塁ベンチ裏の客席からは、大谷翔平とトラウトが対峙する18.44mの空間が、まるで映画館のスクリーンのようにすっぽりと視界に収まった。左手には録画中のスマホ。右手には、「必ずマイアミでも登板する」と、期待を込めて作ってきた投手・大谷の写真入り応援ボードを掲げた。既に枯らしたしゃがれ声で、精いっぱいの大谷コールを連呼する。圧倒的なU.S.A.コールにかき消されて、届くはずもないのに、日本人として叫ばずにはいられなかった。

 カウント3-2。次で決まる。

 その瞬間、目立つかもとわずかな邪念も籠っていたボードを「これではダメだ」と、慌てて投げ下ろした。

 最後の1球。わずか0.43秒の白い球筋は、はっきり見えた。空振り三振。アラフィフは、声にならぬ声を上げながら、ブルブルと震える手で、吠えてグラブを投げる大谷にズームした。脳裏に刻まれた世界一の瞬間は、スマホ越しだったか、直視できたのかは記憶にない。頬をつたう水滴も、涙か汗か分からない。ただただ、歓喜の輪の中で飛び跳ねる大谷を追い続けていた。

 元スポーツ紙記者として、数々の名場面にも立ち合ってきたくせに、これまでに経験したことのない興奮に、我を失った。試合直後からの優勝記念Tシャツの限定販売も分かっていたが、客席からは長時間離れられずに、放心状態で優勝セレモニーを延々と眺めていた。共に観戦した米国人の友人と球場係員に退場を促されて、ようやく足が動いた。

 そこからは、急に激しい頭痛とめまいが襲った。応援だけでも、ここまで精魂を使い果たせるのか。BTSやジャニーズに熱狂する追っかけファンの気持ちが、初めて分かった。我ら応援ファンにとっても、それほどまでに消耗した連夜の死闘だった。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン