駅トイレ洋式化が地方にも広がる
洋式トイレは便座にお尻を付けて用を足すため、普及当初は衛生面を気にして敬遠する人は少なくなかった。近年は洋式トイレが定着し、学校などでも和式トイレは姿を消しつつある。
京成も「すべての個室トイレを洋式化し、和式トイレはひとつも残っていません」(同)という。こうしたことからも、洋式トイレは歳月を経て市民権を得たことがわかるだろう。
それは京成以外にも、トイレの洋式化に取り組んでいる鉄道事業者が多いことでも実証されている。
茨城県内に常総線と竜ヶ崎線の2路線を有する関東鉄道は、常総線全駅のトイレを2019年3月に洋式へと切り替えた。常総線は、茨城県取手市と筑西市を結ぶ約51.1キロメートルの路線で駅数は25ある。25駅のトイレを洋式化する改修費用は、地方の鉄道会社にとって重い負担になる。それでも、関東鉄道は早い時期に洋式化を完了させた。
JR東海もトイレの洋式化を新幹線駅から着手している。京成・関東鉄道とJR東海とでは、駅の数は比べようもないほど差がある。JR東海が全駅のトイレを洋式化することは容易ではない。そのため、新幹線駅から着手したのだろう。JR東海がトイレ洋式化へと舵を切ったことにより、それに触発された他社も駅トイレを洋式化していくことが予想される。
これら駅トイレは、単に和式から洋式へと切り替えられているのではない。洋式化にあわせて、衛生的にもデザイン的にも改修が施された。それにより、使いやすさは格段にアップした。さらに節水や省エネといった面でも機能の向上が見られる。
かつて汚い・臭い・暗いの3Kだった駅トイレは、すでに過去のものになり、快適性を競う時代になりつつある。